スツール

Sukkuのクスッと笑わせて

2024.06.15 更新

 2月に入りました。
私たちが住んでいる南丹市は、今年は雪が極端に少ない冬になっています。それどころか
近頃は、日中の日差しに暖かさを感じたり、梅の花が咲き始めたりと、少しずつ春の足音
が聞こえてきたような気がしています。
このまま暖かくなってきたら、怖いのは花粉症です。でも今年の私は、花粉症にならない
のではないか?と言う謎の自信があります。
皆さんの鼻は大丈夫ですか?もうムズムズ来ていませんか?

コラム「夫婦でのご利用は大変です!」


今回は、土田さんご夫婦(仮名)。妻の絵未子(仮名)さんは、70歳代の女性です。脳
出血の影響で左側の手足に麻痺が残っているのですが、料理や洗濯、身の回りの事は全て
自分でこなされます。庭に花壇をこしらえたり、野菜作りに挑戦したりと、とにかく思い
付いたらやってみる!が、合言葉。野菜がうまく育たなくても、無花果の木が枯れても、
そんなの気にしません。バイタリティに溢れています。熱烈な阪神ファンでもあり、喜怒
哀楽と思い込みが激しいのが玉に瑕…。Sukkuのご利用は、週二回。リハビリの時間をと
ても楽しみにされていて、いつも一生懸命トレーニングして下さいます。
そんな絵未子さんの夫は、正夫さん(仮名)です。
正夫さんは80歳で、とにかくお酒が大好き。昼間からお酒を飲んでは、足元がふらふら
~になり、何度も転倒しています。私も、絵未子さんからその情報を聞いていましたので
、時々、夫は元気か?と確認していました。どうやら最近は、お酒の量は減ったものの、
転倒が怖いので動くことが減ってきたとか。
そんな夫の状況を、どうにかして改善したいと思った絵未子さん。色々と考えた結果、正
夫さんもSukkuへ行くことを提案しました。しかし、正夫さんは身体を動かすことが大嫌
いです。そんなことを、知ってか知らずか(いや、確実に知っています)、本人は行く気
がないのに、奥さんがやる気満々になってきたのです。自分が良いと思っていることは、
他の人にも絶対に良いと思っている絵未子さん。Sukkuに行くことは最高で、誰にとって
も必要なことだと思い込んでいます。
さて、こうなると絵未子さんのバイタリティがさく裂。あれよあれよと言う間に話しが進
み、契約に関する会議も無事に終わり、火曜日の午前中は正夫さん、午後からは絵未子さ
んという日程で、土田家のダブルヘッダーがスタートすることになりました。会議中、正
夫さんが自信なさげに「まぁ一回行ってみるわ…続くか分からんけど…」と弱々しい声で
仰った事が気がかりでしたが…。

初回の日、お迎えに行くと玄関前に立っていたのは、やる気に満ちた絵未子さんでした。
その後ろから、ゆっくり、ふらふらと歩きながら「大丈夫かな~」と、不安げな表情の正
夫さんが登場しました。
初日は、身体機能を評価したり、看護師が詳しく聞き取りを行ったりして、今後のトレー
ニングの内容を決めていきます。(特に初回は緊張されている方が多いので、疲れが出な
いように配慮しています。)もちろん正夫さんも、ゆったりとしたペースでスタートした
のですが…時間が経つにつれ、どんどん元気がなくなっていきます。何とか初回のご利用
が終わり自宅まで送ると、玄関前には絵未子さんが待ち構えていました。「待ちくたびれ
た~!」と興奮気味。どうやら居ても立っても居られなかった様で、ずいぶん前から待っ

ていたとのこと。
次の週も、正夫さんを迎えに行くと絵未子さんが玄関前で待っていました。それからゆっ
くりと、正夫さんが出てきます。そして、車の中で「わし、運動好き違うねん。」とぽつ
り。
2回目の利用日も、後半になればなるほど歩くスピードはゆっくりになり、「疲れた
~。」と表情は曇ります。この日の帰りも、玄関前には絵未子さんが待機していました。
そして約1時間後、絵未子さんをご利用時間に迎えに行くと「疲れた…」と一言。絵未子
さん、まだ始まってないのに…。
そんなこんなで、ご夫婦でとてもお疲れになる1日が、2回続きました。そして3回目の朝
、電話が鳴りました。「今日、休みたいんやけど…」正夫さんは欠席されました。
午後から来られた絵未子さんは、なぜかとても疲れた顔でした。そして、眉間に皺が寄っ
ています。私がどうしたのか?と聞くと「夫がSukkuを休むなんて考えられない!こんな
に身体に良いことをしているのに!」と、半分泣いたような顔で訴えます。
私は言いました。「なんぼ身体に良いからって、本人にやる気がなかったら続かないし、
効果も薄いです。それどころか、絵未子さん、あなた自身が一番疲れているじゃないです
か。」と。そこで、絵未子さんは気付きました。「私にとって良いことでも、他の人にと
って良いとは限らないんやな。人生で初めて分かったわ。」成長されました。

正夫さんの3回目はありませんでした。ご利用終了です。
絵未子さんの疲れもなくなりました。
私も1日4回、絵未子さんを見る必要がなくなりました。
それ以降、ご本人のやる気がないのに周りが一生懸命になっている場合は、しばらく時間
を置いてもらいます。一度冷静になってから、再度Sukkuに来てリハビリをするのかを決
めてもらいます。
それが、お互い気持ちよく長く続けてもらう秘訣だと分かりました。
私も成長しました。(おしまい)

次回コラム「昨日の敵は今日の友」

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