『卵の緒』 瀬尾まいこ
自分は捨て子だと考えている育生。母さんに「へその緒を見せて」と言うと、出されたのは卵の殻だった。育生は卵で産んだの、とけろりと言い放つ母さんは、それでも育生を深く愛してくれていて…(「卵の緒」)。
わけあって父の愛人の子・七生と共に暮らすことになった七子。異母弟との二人暮らしに戸惑いぎくしゃくするも、やがて七生を大切に思うようになる。(「7’s blood」)。
温かい気持になれる作品集です。「卵の緒」は瀬尾まいこさんのデビュー作なんです。私は一読したきりしばらく忘れてしまっていて、再読するやいなや育生の母・君子さんの大雑把な深い愛情に心をわしづかみにされました。
「卵の緒」の育生をとりまく人々や、「7’s blood」の七生のけなげさに癒され、何度も読み返したくなる物語です。
温かく優しい瀬尾まいこさんの原点、とてもおすすめです。