スツール

ターバン女のひとりごと

2023.12.15 更新

『踊る日本人⑪』

盆踊りを始めて6、7年くらいになるが、2年ほど前から日本舞踊もひょんなことからうっかり始めてしまった。

遡ること3年ほど前、実家の母から大量に着物を譲り受けた。

母と私は背丈が違い、どの着物に袖を通してもちんちくりん。加えてその当時、着物を自分で着るという概念が皆無だったため、一部の帯を除いてほとんどを買い取ってもらい処分した。

着物を着ることも、入学式、卒業式くらいのもんだろうなと思っていた。

ところがどっこい、その1年後、日舞を習い始めることになった。

盆踊りを探求していると、自然と日本舞踊に繋がっていくのだが、見ていたらどうも日舞経験者の方の踊りは美しい。所作や細かい動きが違うのである。

心のどこかで、「ええなーええなーそういうのんしてみたい」と思っていた。しかし自分とは全く関係のない世界だとも思っていた。

同じ頃に盆踊りの先生から、「あんたいっぺん見てみいひんか」と日舞の発表会に誘っていただいた。

やはり、ええなーすてきやなーと思う。

怒涛の如く、先生はわたしを誘ってくださる。歌謡曲に合わせて日舞の動きが習える教室の見学。

なんかしっくりこない。

先生は冷静に「ははーん、あんたがしたいのは古典でっしゃろ?」

全てを見破られている。

その後はするすると蜘蛛が糸を引くように、ご縁が繋がり自然な流れで習うことに至った。

基礎の日本舞踊を習ったら、必然的に盆踊りが美しく踊れるのではないか。これが最終目標だ。

しかしまずはお稽古に浴衣か着物を自分で着ていかないことには、話にならない。

今まで着せてもらっていたので、急に慌てふためく。

浴衣さえも自分で着付けたことなんてなかったのだから・・!

血眼で着付けの動画を見ながら練習する。なんとなくは着れた。でも多分、見る人がみればぐちゃぐちゃ。

案の定、着いて早々着崩れ、もうわけがわからないことに。

その度に、ここはどうしたらいいのですか?と聞いて回り、試行錯誤の繰り返し。

こうしてわたしのずっこけ日舞珍道中は幕をあけたのである。

つづく

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