スツール

Sukkuのクスッと笑わせて

2023.11.15 更新

2023年11月5日は、阪神タイガースが38年ぶりの日本一を成し遂げた歴史的1日
でした。タイガースファンの皆さん、本当におめでとうございます。
そして立冬も過ぎ、南丹市も少しずつ冬の足音が聞こえてきました。薪ストーブの準備に
スタッドレスタイヤの交換、お気に入りのコートを出したりと、冬支度を始めるこの時期
は、何だかすごくワクワクします。

60コラム「そうです。私が変なじいさんです。」


今回は高田さん(仮名)80歳代後半の男性。
奥さんを数年前に亡くされてからは、一人暮らしをしています。煙草も吸いますし、車も
運転します。脊柱管狭窄症で腰が悪く、長い距離を歩くとしびれが出て足全体が痛くなり
ます。また、数か月前から肩にも痛みが出始めました。
口癖は「私は変なじいさん」です。
変なじいさんは、すごい経歴の持ち主です。
高校まで園部で過ごした後、多分、京都大学へ。(本人は、京都の大学とだけ言われるの
ですが、周りからの情報により判明。)
大学卒業後は、農林省(現在の農林水産省)に就職し、お茶の研究に没頭されました。勤
務先は、日本全国津々浦々。時には中国・タイ・フィリピンなど外国でも研究したとのこ
と。海外勤務の際は東南アジアを中心に旅行することが楽しみだったそうで、ヒマラヤ山
脈も近くまで見に行ったよと、話しを聞かせてくれました。「色んな人と仕事したけど、
根本はみんな一緒の人間だよ~」とか、「不真面目な国もあったけど、人間的にはおもし
ろかったね~」など、毎回気になる話が盛り沢山。「いくつになっても、好奇心は忘れた
らあかんよ~」と、なかなかいい話なんかもしてくれます。そして会話の最後は、「こん
なことばっかり言ってる私は、変なじいさんです」と締めくくるのです。
こんな高田さんですので、他の利用者さんとの距離を縮めるのがとても得意。とにかく誰
とでも話しをします。女性も男性も関係なしです。でも、決して否定的な事は言わず、絶
対に他人を悪く言いません。そのせいか、話しかけられた方は最初驚きながらも、最後は
笑顔になります。ついこの前も、ある利用者さんが、「尿漏れが気になる…こんな話、情
けないなぁ…」とポツリ。高田さんは「うん、僕だって尿漏れします。僕たちの年齢から
考えたら、これ、普通の会話ですね~。うん、正常正常~。」と、答えました。変なじい
さんに言われると、妙に納得してしまいます。
そして先日、真面目な顔でこんな事を言われました。
「僕がSukkuを信じて通っているのはなんでやと思う?初日に、この腰は完全に治るか?
って聞いたやろ。その時あなたは、治りません。って言うた。それで僕は、ここを信頼で
きる思たんや」と仰りました。
私は常々、リハビリで病気を治すことは出来ないと思っています。病気の症状に対してア
プローチするのであって、病気を治すことは私の範疇ではなく、医師のすることです。
事実、Sukkuでリハビリを開始してから高田さんの肩の痛みはほぼなくなり、長く歩くと
痛くなったり痺れてくる脊柱管狭窄症の症状も軽減してきました。
しかし、レントゲンを診ると脊柱管狭窄症という病気は、完治していません。
(ですので、身体のことで特にお年寄りに対して、治るという言葉を使う人を私はあまり
信頼していませんし、根本治療という言葉も軽々しく発することはしません。)
高田さんの話す内容は、あの人はどうしてる?や、○○さんはもう亡くなった?とか、田舎

の人にありがちな共通の知り合い探しなんかも、ほとんどしません。目の前の人とちゃん
と話しをします。だから誰からも嫌がられません。高田さんを見ていると、目の前の人と
ちゃんと話しをすることの大切さに気付かされるのです。

私には高田さんに聞きたくて聞けていないことがあります。それは、初めて自宅に伺った
ときに家の壁に貼ってあった言葉についてです。
その言葉は「未知との出会い」です。
これはどう言う意味なのか?
次会ったときに、聞こうと思っています。(おしまい)
次回コラム「どうもあれへん」です。

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