『踊る日本人⑨』
夏が来ると、いよいよ盆踊りのシーズン到来である。
本来体力はまるでなく、どちらかというとひっそりと過ごしたいタイプの人間だ。省エネで過ごし、夏のために蓄電しているので、普段では有り得ない体力を夏に発揮する。
四十過ぎのオバハンがいかにこの時期に過集中しているのかという事実をご紹介したい。
今年も子供が所属しているラグビースクールの合宿in丹波と、四条〜三条の鴨川沿いで開催される鴨川納涼の舞台とが見事かぶってしまった。
ここは両方行くしかない、ということで、鼻息荒くまずは早朝に丹波へ。信じられない猛暑日。何もしていないのに頭が溶けかけている。加齢だろうか、汗をかきすぎて体が臭い。
暑さと激しい練習でバッタバタと倒れていく子供たちのお世話をして、昼過ぎに血眼で高速を運転しながら帰宅。
薬局で売っている疲労回復的なゼリーを流し込み、浴衣に着替えて、市内へ。疲れるどころか目も頭もバッキバキ。ゼリーが効いているのか、暑さでやられているのかは不確かなまま。
観光客で溢れかえってる鴨川付近。
夕暮れのぬるい風が吹くなか、舞台ではすでに出演者たちが演舞を披露していた。富山県人会さんのおわら風の盆や、日本舞踊など。
和の踊りがメインなので、外国人観光客が足を止め、絶えずシャッターを切っていた。
舞台裏で最後の打ち合わせを保存会の方々とする。こういう土壇場になって「ここはこーじゃないの?」「違うって!」「あれ、〇〇さんがいない!」などなどおばちゃんたちのハプニングが起きたりするのも何だか楽しい。舞台上ではみんな涼しい顔をしているが、案外裏ではてんやわんやだったりする。
舞台に出るのは好きじゃないが、こういう舞台裏の自分も含めた人々のソワソワ感が好きなのだ。表面的ではない、人間味が凝縮されてる気がするのだ。
麦茶をがぶ飲みして、いざ本番である。
保存会の出番は一番最後だったので、大分お客さん少なくなっているやろなと思いきや、結構な人たちが残ってくれていた。
アナウンスが流れると、わあ!っと歓声が上がり、出ていくと景気の良い拍手が沸き起こる。随分乗せ上手なお客さんたちじゃないか。
気分良く三曲を披露させてもらい、無事に終了した。
出店がたくさん出ていたので、保存会のお姉さん方と乾杯していたら、若い金髪のブルーアイズの外国人が英語で話しかけてきた。最初何を言っているのかわからなかったが、よくよく聞くと、
「あなたたちの踊りさっき見てたで、めっちゃよかったで!イエー!」ということだった。
みんなでハイタッチをして国際文化交流である。
こうやって少し飛び出していろんな人たちに触れ合うのもとてもいい刺激になるし、ちょっとだけ地域貢献したわ〜という気分にもなれる。
夜10時過ぎに帰宅。次の日はまた朝から丹波で夏合宿のお手伝いに、疲労回復的ゼリーを流し込み、頭も目もバッキバキのまま向かったのである。
つづく