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Sukkuのクスッと笑わせて

2023.09.15 更新

9月に入りました。
朝と夜の暑さが少しずつ和らいできました。
日の出と日の入りの時間が、目に見えて変わってきた今日この頃。
こちら南丹市では稲刈りが始まりました。早速、お裾分けを頂きましたが、精米したての
新米は美味しさが違います。輝きが違います。ふっくら感が違います。
美味しいお米を戴ける幸せを感じる、秋の訪れです。

58コラム「もう死にたい。そのときあなたはどう答えますか?」です。


いきなりですが皆さんは『もう死にたい』と言われたらどう答えますか?
私は『人間、産まれるときと死ぬときは自分で選べないよ。』と言います。
それで納得する人は多分いません。
私も、死にたいと思っている人を本気で止めれるとは思っていません。
しかし、なぜその発言に至ったのかを考えます。
この発言をした方は平山さん(仮名)女性、86歳の方です。
平山さんは娘さんと二人暮らしで、畑が大好き。自分は匂いの強い野菜は苦手なのに、み
んなが喜んでくれるからと、ニラやニンニク作りに精を出しておられます。
糖尿病があり、食事内容が悪いとすぐに足が浮腫みます。血糖値のコントロールがとても
重要な方です。また、糖尿病の影響で視力も徐々に低下し、手足の末梢神経の症状も出始
めています。
今年の夏は7月に入る前から、猛烈に暑い毎日でした。そのため熱中症にならないように
と、平山さんは日課の畑仕事など、屋外活動を控えるようになりました。
すると徐々に食事量が減り、体重も大幅に減少。
私の経験上、体重の減少が続くとその方の歩行能力が低下します。
歩行能力が低下すると活動量も低下します。
活動量が低下すると精神面も不安定になります。
そして人によっては「もうあかん」や「死にたい」などの発言になります。
そんなしんどそうな顔をしている平山さんに、スタッフは「頑張れ!」とは言いません。
言えることは「来た時よりもいい顔になったよ!」とか、「今日も来てくれてありがとう
。」など、スタッフそれぞれが、ありのままの気持ちを伝えます。
ちなみに、前回のコラムに登場した小田さん(仮名)は、平山さんの「死にたい」発言を
聞いてこのように答えました。「平山さん!命ある限り精一杯生きなアカン!私は毎朝起
きた時に、今日も生きてることを実感してる!」と、すごく真剣に答えてくれました。私
は小田さんの言葉に、深みと凄みを感じました。自分も様々なしんどい経験をされた方の
発言です。経験には勝てない一言でした。
しかし、小田さんから励ましの言葉をもらっても、平山さんの気持ちは前へ向きません。
それどころか、「何にも食べる気が起こらへん。」とか、「何食べても味ない。」など、
日に日に食欲がなくなっていきます。平山さんのように、体重管理が必要な方は、家族さ
んとも連携して食事状況の確認も行います。そして場合によっては高カロリー食や高カロ
リー飲料もお勧めするのですが、平山さんの場合も娘さんにご協力いただき、自宅での食
事や過ごし方などを工夫しました。すると、何とか体重の減少は下げ止まり、歩行状態や
体調も少しずつ改善し始めたのです。
ですが、平山さんの表情は一向に優れず、とうとう「入院したい」と言うようになりまし

た。平山さん、どうやら入院したら元気になると思っておられます。私たちからすると、
入院すると養生できるかもしれませんが、活動量は下がる一方です。主治医も、身体的に
は入院しなくてもよい状態とのこと。
せっかく体調が改善してきたのに、今入院したら良くないと私は考えました。
そこで私が「入院したら、夜は幽霊出るで!怖いで!」と言うと「ほんまけ?そら怖い
~。」と本気で怖がられました。(最近知ったことですが、平山さんはお産以来、約87
年間入院したことがないのです!)幽霊作戦が成功したのかはわかりませんが、「入院し
たい」と言わなくなり、今週に入って表情が一気によくなりました。
何があったのか?
主治医に、2日続けて点滴をしてもらったのです。
最初からそうしてたら良かった・・・。
けれど、私たちの取り組みは無駄ではなかったと思います。
これからもSukkuは、身体を診れるデイサービスとして頑張ります!(おしまい)
次回コラム「弱気な阪神タイガースファン」

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