スツール

ターバン女のひとりごと

2023.07.15 更新

『踊る日本人⑥』

SNSのタイムラインに、ひとつの祭情報が上がってきた。

郡上おどりin京都というイベントである。

岐阜の郡上おどりの楽しさを広めるために、2008年からスタートしたイベントである。

ここ数年は中止されていたが、今年から再開されるとのこと。

郡上おどりは保存会でも、『かわさき』『春駒』などを踊ったことはあるし、徹夜踊りの動画なども何度も観ていた。

ずっと行ってみたいと思っていた祭のひとつである。

それが京都で踊れる絶好のチャンス!誰でも参加OK!

ここは満を持して参加するしかない。

夫に伝えると、「俺も行ってみようかな・・」とボソッと呟いた。

息子にも聞いてみると、真顔で「行かない」と即答だったので、義母に子守りをお願いした。

当日浴衣に着替えていると、夫は「え!それで行くの?!もっとラフなスタイルで行くのかと思ってた」と驚いていた。

夫は私の祭へのパッションをかなり低くみていたようだ。

「意気込み」しかない自分なりの正装で、前のめりで鼻息荒く開催場所へ、いざ出陣である。

会場に到着すると、すでにお囃子の音が鳴り響き、輪ができ、非常に盛り上がっている。

輪の中心は「筋金入りの郡上おどり好き」の人たちが華麗に踊っている。

なんとなく遠巻きで見ながら、しれっと輪の中に入ってみる。

前後の人の踊りをチラチラ見ながら、踊ってみる。

これが中々難しく、笑ってしまうくらいぎこちない。

普段保存会では知ってる曲しか踊らないので、知らない踊りを初見で踊るのはかなり新鮮だ。

しかし誰でも最初はそんなものである。

踊れなくても繰り返し真似していたら、そのうちなんとなくは踊れるようになるし、それ以前に「楽しむ」ことが盆踊りの醍醐味である。

たまに本当は踊りたいけど「ちゃんと踊れないから」という理由で、輪の中に入るのを躊躇される方がいる。

個人的には「ちゃんと踊れなくてもいい」と思っている。舞台で踊るわけではないので、各々が好きなように、好きなスタイルで踊って楽しめばいいのではないか。

人の目を気にせず、踊ることに没頭する、これが盆踊りの楽しさだ。

やっと慣れてきた頃に曲が変わるので、また一からである。テンポが速い曲はフリも難易度高めなので、ついて行くのに必死。というか、全くついて行けてないし、ほとんどなんちゃってで、フリも適当にしか踊れていない。

それでもなんとなく踊れるようになると楽しい。

出来てなくても輪の中にいるだけで楽しい。

とても気分良く踊りだした頃である。

踊りの神様がいるとするのなら、人間の姿形に変えて突如降臨された。

「はい、右、左、右、前、後ろ・・」

踊りの神様は、私の真横にピタッとついて、指導を始めたのである。

つづく

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