4月に入りました。
私の花粉症の症状も落ち着いてきた今日この頃。皆さんいかがお過ごしでしょうか?
つい先日、神戸にある安藤忠雄氏設計の兵庫県立美術館に行く機会がありました。そこで、私が惹かれた言葉があります。
青春とは怯需を退ける勇気。安易を振り捨てる冒険心を意味する。
ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
年を重ねるだけで人は老いない。
理想を失う時に初めて老いる。
サミュエル・ウルマン
この言葉を見たときに思わず写真を撮ってしまいました。
私も理想=目標に向かってリスクを負って勝負していこうと改めて思いました。
みなさん、青春してますか?
53コラム「長男の嫁が~」です。
今回のコラムは美千代さん(仮名)90歳の女性です。
この方は30代の時にご主人を病気で亡くされ、二人の子供を働きながら一生懸命育てられました。子供さんが独立された後は、一人で生活されています。
性格はとにかく几帳面。何事にも真面目に取り組み、きっちりした性格の方です。朝起きたらまず掃除。朝食後も掃除。昼食後も掃除。夕方も掃除。入浴後のお風呂も毎晩大掃除。とにかくお掃除が大好きで、ご自宅はいつ伺ってもほこり一つ落ちていません。
また、強い難聴がありますがお話し好きで、喋り出したら止まりません。お話好きといっても、絶対に人の悪口は言いません。ご自身のこと、好きな芸能人のこと、お料理や掃除など守備範囲は広いです。難聴+多弁で一方通行になることも多いですが、本人はあまり気にしていません。テンポの良い会話とユーモアあるお話の展開に、こちらも合いの手を入れたりして楽しんでいます。
そんな美千代さん、Sukkuをご利用して頂いて半年が経過した頃、発熱を繰り返し少し体調を崩されました。しばらく自宅で療養していましたが一向に良くならないため、大きな病院に行かれました。肺炎です。幸い軽度の肺炎だった事と、適切な治療のかいもあって10日ほどで退院となりました。しかし、一人での生活はまだ危ないだろう。とのことで、急遽体調が完全に戻るまで長男さんの家にお世話になることになったのです。
さて、そこから約1か月間、地獄のような(本人曰く)生活が始まるのです。
長男さんは奥さんと二人暮らし。そこに美千代さんが転がり込んできたという構図。
長男夫婦は働いておられるので、結局は昼間一人暮らしと変わりません。しかも、長男宅の周りには友人も知り合いもいません。テレビは難聴でほとんど聞こえません。
長男夫婦の家ですので、美千代さんの家ではありません。ですが、美千代さんは掃除をきっちりしないと気がすみません。長男宅でさえ、家の中の汚れなどが気になって仕方ないのです。美千代さん、分かってはいましたがついつい家の掃除などをしてしまうのです。余計なことをするな!と、案の定長男に怒られます。そして、その長男のお嫁さんは気の強い方だそうです。(美千代さん談)
美千代さんが体調を崩してからは、病院受診の手配や介護保険の書類、金銭管理はその気の強いと噂の、お嫁さんが代わりにするようになりました。
美千代さんはお嬢様育ちで金銭管理にやや甘いところがありましたが、お嫁さんが管理するようになって「無駄使いが多い!おかあさん!なんでこんなにお金無いの!」と言われる始末。お嫁さんが仕事から帰ってきた際、美千代さんが「おかえり」と言っても返事もしない・・とか。(難聴のため聞こえていないだけだと思いますが・・・)昼ご飯は用意してくれてないし、1日2食だけやった・・・とか。挙句の果てには、一か月の滞在中お風呂にあまり入れなかった・・・とか。
自分のペースで生活できないストレスだけでなく、自分のやり方で掃除がしたい、自分のやり方で洗濯がしたい・・何よりもお嫁さんとのバトルが絶えず・・。美千代さんもお嫁さんも、ひかないし譲らないし、もう周りがお手上げ状態。日頃、人の悪口を言わない美千代さんが、応戦しているのです。ですが、さすがにそんな生活はお互いすぐに限界がやってきて、美千代さんは施設に入ることになりました。サービス付きの施設です。その施設も長男のお嫁さんが探してきて決まりました。(お嫁さんの仕事場から近いからという理由。)美千代さんは一度も見学に行ってません。嫁が勝手に決めたんや~!と、またまたご一腹。
入所が決まってからも、ひと悶着ありましたが・・入所して生活が落ち着いた頃、再びSukkuへ通うことになりました。約3か月ぶりの利用です。
開口一番は「長男の嫁が~!!!ほんまにきつかったんや・・・」から始まり、約30分間の独演会でした。聞いている看護師も、頷き疲れが出るぐらいでした。
ですが、美千代さんはこうも言ってました。「長男の嫁は、あれぐらいきつくないとアカン。」もぉ~どないやねん。
施設に入って約3か月経ちましたが、心の健康は保たれています。
ご自分のペースで朝から掃除をし、洗濯はパリッと納得がいくまで一枚一枚温風機で乾かし、窓から見える外の景色を楽しむ余裕も出てきました。
「Sukkuに来ることが楽しい!ここが今の私の生きがいです。」と言ってくださいます。
私たちもその言葉を聞いて、とても嬉しいです。
最近ようやく「長男の嫁が~!」という話しも、なくなってきました。
やっぱり適度な距離感って大事なんですね。いくつになっても。 (おしまい)
次回コラム「プライド高き人たち」