スツール

Sukkuのクスッと笑わせて

2023.01.15 更新

 2023年が始まりました。今年もどうぞよろしくお願い致します。
年々、年末・年始、特に師走の感覚が薄くなってきている。
この感覚って私だけだろうか??
私なりに考えた結果、我が家にはテレビがありませんので、年の瀬の賑わいや忙しい風景が、目から入ってこないからだろうと。逆にSukku利用者さんは『テレビの守(もり)』をしている人が多いため、過度に色々な情報が入りすぎているのでしょう。12月25日を過ぎると急にせわしなくなります。
今年も過度に色々な情報を入れないでおこうと思います。
ラジオ生活ではそんなに入らないか・・・。
私たちは今年も例年通り、滋賀で新年を迎えました。
お節やお雑煮を食べ、毎年恒例、琵琶湖の浜から初日の出を見ました。
皆さんは今年、どう過ごしますか?
私は早寝早起きに磨きをかけます。
4時30分には起きることにします。
まずはそこから。はじめよう。

コラム「追悼 7人兄弟の末っ子さん」


今回のコラムは滝川さん(仮名)85歳 男性。
滝川さんは7人兄弟の末っ子。「私はほっとかれて大きくなりました~。」とよく言われます。その影響なのか?一言で言うと、様々な物事に対してすごく甘いです。いや、おおらかです。
この方は80歳を過ぎてから脳出血を発症されました。左側に麻痺が残りましたが、幸い麻痺は軽度で、不安定ながらも杖をついて歩く事も出来ます。しかし、左側の感覚が鈍く、特に熱い冷たいが分かりにくいです。そのため、「いつも左の手は冷たいです。」が口癖です。

滝川家は、奥さんと長男さんの3人暮らし。京都市内に二人の娘さんがそれぞれ住んでおられ、時折ご両親の介護をしに帰ってこられます。そんな滝川家、それはそれはバラエティー豊かなご家族で、様々な出来事で私たちを驚かせてくれます。
南丹市に来るまでは、京都市内の金閣寺近くに住んでおられたそうですが、ある日、家族5人で南丹市をドライブしていると、小高い山の中腹からの眺めに一目ぼれ。そこで偶然やっていた住宅展示会を見学。絶対ここに住みたい!と、娘さんが強く希望されたこともあり、買う予定なんてなかったのに・・即決で購入!京都市内の家は、売却されました。
しかし住んでみると、あっという間に周りに家が建ち、あんなに眺めがよかった景色もどこから眺めても家ばかり。そして、娘はすぐに社会人になり、家を離れました。周りは坂ばかりで、買い物は車を使わないといけない自宅に、老夫婦と長男のみが残されることになったのです。『ぼくはいつも深く考えず、行動しちゃうんですよね~』と滝川さん。後悔しているそうですが、笑顔で話されます。
奥さんはというと、とてもとてもネガテイブ。滝川さんが大雑把で楽観的なので真逆です。ご主人が今からSukkuへトレーニングに行くと伝えると『運動中にこけたら危ないから、いかんとき。』や、雨の日に迎えに行くと『雨で滑ったらあかんから、いかんとき。』など、ご主人を引き留めようとします。そして、極端に出不精です。自宅のソファーに座ったままほとんど動かず、暴飲暴食を繰り返します。私たちが初めてお会いした時は歩けていましたが、2年、3年と経つと徐々に動けなくなり、最近では入院することも増えました。そんな奥さんを見かねてか、いつの頃からか食事の準備や洗濯など、生活のことは滝川さんがするようになっていました。
奥さんが入院する度に私は『奥さんおらんと淋しいでしょう。』と聞きます。すると滝川さんは毎回、『あのおばはんがおらんと楽で良いです~。』と笑顔で答えます。確かに滝川さん、生き生きしている・・。実際、朝の準備や生活面など、色々なことがスムーズに進んでいるような気もします。
一緒に住んでいる息子さんは50代で、配送関係の仕事をされています。朝早くに出勤し帰りも遅いことが多いので、滝川さんは息子さんのことが心配でなりません。
毎朝、息子さんが出勤する前に起きて朝食を準備し、送り出します。『息子の出勤時間に合わせて起きたら寝不足で~もう眠くて眠くて~。』笑顔で話されます。
時々二人で外食もされますが、決まって中華です。しかも、こてこてのラーメンです。85歳過ぎて、こてこてラーメンと餃子のセットです。外食された翌日はだいたい胃の調子が悪く、体調を崩しています。『今回も気持ち悪くなっちゃって~帰ってきてから吐いちゃったんですよ~』そんな文句を言いながらも、やっぱり嬉しそうに『息子はこってりした物しか食べないんで困ります~。』こてこて中華は続けています。
そんな父親の気持ちを知ってか知らずか・・(知らないような気がする)息子さんはたまに買い物に連れて行ってくれます。ですが、スーパーに着いても車で待たされます。息子さんは一人で買い物に行きます。車のエンジンも切ります・・。エンジンの切れた車で一人待たされます。夏の暑い日もです。もちろんこの場合も、体調を崩し2・3日寝込みます。そして私は『夏の間はエンジン止めたらあきません!』と当たり前のことを言うのです。

そんな滝川さん、杖歩行はできるのですが、ふらつきは著しく、かなりの不安定さがあります。ですが、本人はそんなこと気にしません。こちらが不安になるくらい、挑戦的なのです。
ある日は、台所に出たGを叩こうと追いかけていたら転倒し臀部を強打。『いや~追いかけられると思ったんだけど~逃げ足早かったですね~』とニコニコ。
またある日は、片足で立ったままズボンを履いてみようと思いついたものの、転倒し後頭部を強打。『いや~なんだか急に出来る様な気がしたんだけど~やっぱり大失敗でしたね~』とニコニコ。
このように、日々の私生活では驚くほどトラブル続きなのに、不思議と大きく体調を崩すことはありません。数日寝込むことがあっても入院するまでは行かず、自宅療養だけで日常に戻るのです。ご自分でも「私はなかなかしぶといですね~。」とよく話されます。さすが7人兄弟の末っ子!強い!色んな意味で強い!

滝川伝説は数えればキリがなくまだまだあるのですか、11月下旬の朝、一件の電話が入ったのです。
私が出ると「もしもし、滝川の息子です。」
私「いつもお世話になっています。」
息子「昨日の夜遅くに帰ったら、父が風呂で死んでまして。さっき警察が帰ったところです。」
私「えっ・・・」
あまりに突然だったので、すぐに言葉が出ませんでした。
あんなにしぶとかった滝川さんが、こんなにもコロッと逝ってしまうなんて。
滝川さん、あなたのいない日常は少し刺激がなくて寂しいです。
天国で7人兄弟そろって楽しくやってくださいね。 (おしまい)

次回コラム「老人と犬」

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