スツール

Sukkuのクスッと笑わせて

2022.12.15 更新

 12月に入り急に寒くなってきました。
Sukkuの送迎車も、早々とスタッドレスタイヤに交換しました。
秋の終わり頃から、白い虫がフワフワ飛んでいるのをよく見かけます。「雪ん子」です。雪ん子が多く飛んでいる年は、雪がたくさん降るんやで。と、この辺りのお年寄りは言います。さて、この冬はどうでしょうか?
そして、つい先日今年の漢字が発表されましたね。
私の今年の漢字は『楽』です。今年は、色々なことを楽しむことにしました。
京都サンガの応援に、ブルーノマーズのライブ。ウルフルズの野外ライブや山下清の個展、ロバートキャパ、クイーンの回顧展など…もちろん、山もたくさん登りました。
私も子供も一流に触れる機会が多くあり、いっぱい楽しむことができました。
そして、最後は竹内さんの撮影で締めくくりました。今年の撮影は、普段お世話になっている方々の家に行き、川瀬家と一緒に写真を撮ってもらいました。
皆さん来年どうなっているかわかりませんので…
このコラムを見て下さっている皆さん、今年もありがとうございました。
今年ラストのコラム、一生懸命完成させましたので是非ご一読ください。

今回のコラム「やらなしゃあない」


中西さん(仮名)59歳 男性、一人暮らしの方です。
この方は若い頃から腎臓が悪く、20代後半から人工透析を受けておられます。週3回、透析を受けながら、仕事もしていましたが、35歳を過ぎたころから徐々に体調に変化が出始めました。腰の手術を受けたり、指が動かしにくくなったり、肩の腱板が断裂したり、足を中心とした血液の循環不全を起こしたり・・と、長期間の透析の影響もあり、色々な病気を経験。仕事は、50代で退職されました。
この様な度重なる入院や手術で膝は伸びず、腰も伸びず、肩も挙がらず・・徐々に体力の低下を認め始めたのです。これまで車の運転や買い物、お風呂、食べることなど、ほとんどの事は自分でされていたのですが、日常生活もままならない状況に・・。
このままではアカン!と思われたそうで、Sukkuの利用が始まりました。
いざ始まってみると、運動中に足が痛くなったり、血圧が急激に下がったり・・と、様々なトラブルが発生。いやぁ、なかなか大変でした。それでも、看護師を中心にスタッフ皆で対応していく中で、徐々に持久力や足の筋力が向上しました。田舎暮らしには欠かせない車の運転も、足の筋力がアップした事で安定して乗ることができるようになり、とても喜んでおられました。
そんな比較的安定した状態が1年ほど続いたある日、右足の小指に小さな潰瘍が出来ました。病院やSukkuでも色々対応しましたが全く改善しません。それどころか、日に日に悪化するばかり。それくらい、循環不全の影響は大きかったのです。
不安は的中。入院して抗生物質を投与する治療をすることになりました。
もし、それでも治らない場合は切断…
スタッフみんな、改善することを祈るような気持ちで待っていました。

1か月間の入院治療を行いました。
しかし、治りませんでした。
右足の指を切断することになりました。
切断して2か月後、病院で会いました。
退院後、またSukkuでリハビリしたいと。大西さんが熱望してくれたのです。
透析もあり、患部の治療もあり、腰や足の痛みもあるので、だいぶ動けなくなっているかなぁ。と思っていたのですが…大西さん、歩行器を使って自分の力で歩いて登場したのです。自分が想像していた状態より、すごく動けていて感心しました。大西さん、きっとリハビリ一生懸命頑張ったんやな。その姿から入院中の様子が想像できました。
病院で会った時、私は正直に言いました。
「大西さん、こんなに動けるようになっているとは思っていませんでしたよ。」
すると大西さん、「家帰っても一人やし、やらなしゃあない。」
退院に向けての話し合いの中、Sukkuでの目標設定はどうするか?という話題に。
大西さんは言います。「自分で歩いて、また車に乗りたい。」その為に、Sukkuに戻るんだと。
明確な目標を持って、退院し自宅に戻られました。

自宅に帰った後も、切断した部位の治癒は完全ではなくまだまだ予断を許さない状態で、感染を起こさないように細心の注意をする必要がありました。
右足は切断部位を保護する様に包帯が巻いてあります。両手に杖を持ち、足の指がないので踵に体重をかけ、左足で体重を支えて歩いてもらいました。
私は自分の事を鬼と思いながら「やらなしゃあない」という言葉を信じて、Sukkuでは歩いて移動して頂きました。
最初はスタッフが2名、介助しながら数メートルずつの移動から始めました。大西さんはそれだけで息切れし、「疲れた~」と。移動に数種類のトレーニング…しばらくは疲労困憊で帰っていかれましたが、2か月くらい経つとスタッフ1名の介助でも移動が可能になりました。自転車のトレーニングも15分こげる様になりました。
まさしく、大西さんの努力と周りのサポートでとても良くなってきたのです。

しかし、またもや悪夢のような連絡が…
「右足の循環が再び悪くなり、再切断をすることになりそう…
次の診察で、どの部分から切断するか決まると思う。」
この言葉を本人に聞いた時、私達スタッフは絶句しました。
ここまで頑張って、傷も治りかけてきて、ついに靴を作れるかもと話していたのに…
私たちはかける言葉も見つかりませんでした。
帰りの車で大西さんはポツリと一言
「膝から下がなくなったら、もうSukkuには来れへんよな。」
涙目で話される表情を見て私も涙が出そうになりました。
本人のショックに比べたら私たちのショックは軽いものだと思いますが、スタッフはみんな落ち込みました。
なんとか切断しないでほしい。と祈るような気持ちになりました。
そして、医師の診断は・・・
すぐに切断はしない。
抗生物質を投与する治療を、週2回3時間。3か月間試してみて判断する。
これを聞いて、私たちはホッとしました。
週3回の透析に加え、週2回の治療が追加となり、本人は相当疲労するかもしれない。
Sukkuもこの3か月間は休むことになるけど、切断を避けられるかもしれない。
今、大西さんは治療の真っ最中です。
なんとか良くなって、またSukkuに帰って来てくれると信じています。
私たちは待ってなしゃあないですから。 (おしまい)

次回コラム「追悼 7人兄弟の末っ子さん」

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