スツール

ターバン女のひとりごと

2022.12.15 更新

『メキシコのファミリア⑦』

日本の家族の墓参り、そして仏具、陶器爆買いツアーの後、ファミリアたちが「本番のタコスパーティ」を開いてくれるというので、近所のスーパーまで買い出しにいく。

ライムがないので、かぼすを購入したり、無い物は代用品を選ぶ。

ナッシュは盛んに「グリーンティが買いたいわ。どこ?グリーンティ」と探している。一保堂の抹茶といい、本当に日本のお茶への愛が強いのだ。

ママがワカモレ(アボ カドをペースト状にしたもの)を作り、オスカルが大きな体で丁寧にタコスに入れる具をフライパンで炒める。

タコスというと、 ミンチに味付けしたものを包むイメージだったが、今回彼らが作ってくれたのが「海鮮タコス」

マグロやエビといった魚介類を軽くソテーし、味付けし、それを包んで食べる。

非常にあっさりしてヘルシーで食べやすい。

ナッシュはケサディーヤという、トルティーヤにチーズをサンドして焼いたもの作ってくれた。

こちらも何かご馳走しようと、水餃子を作ることにした。

大柄なオスカルを始め、とにかく沢山食べそうな雰囲気を醸し出す彼らなので、無になって大量の餃子を包みまくる。

ナッシュとママも手伝ってくれる。

日本でメキシコ人と餃子を包む。

その間、スペイン語と英語が飛び交う室内。包んでいるのは中国の水餃子だし、もう、わけがわからない。

食事が始まり、本場のタコスに舌鼓した。オスカルがソテーした海鮮タコスも、ナッシュのケサディーヤも、ママのワカモレもとてもおいしかった。

しかし、手の持ち方、顔の向きなど、どうやらタコスの正しい食べ方があるらしく、それを何度も指導受けるのだが、まったく同じようにできないわたし。

とぼけた顔のぎこちない食べ方にみんなに大爆笑される始末。「もう好きなように食べさせてくれ!」と心の中で絶叫した。

本場のメキシカンフードを堪能し、さあさあ、大量に包んだ水餃子のお出ましである。

もう、たくさん食べてちょうだい!と、テーブルに満を持して出したのだが、「おいしい、おいしい」と言いつつも、どんどん箸の動きが鈍くなる。

早々に「もうお腹いっぱい」と完全に箸が止まった。

大量に茹でられた水餃子が、静かに存在感を残している。

後から夫に聞いた話なのだが、彼らは間食が非常に多く、日本のように夕食をがっつりと食べることがあまりないのだという。

そういえば。

夕食前、日本やメキシコのおやつを大量に食べていたことを思い出した。

何かしら、おやつを常に食べている。

定食屋の後のアイスクリームを笑顔で頬張る彼らがフラッシュバックした。

なんて無邪気な人たち・・!!

だがもうそんなことはどうでもよい。

彼らを迎えた初日の歓迎会をした居酒屋で、義母が「メキシコといえば!」と突然歌い出した、橋幸夫の『メキシカンロック』をBGMに、テキーラを飲んで宴は夜更けまで続いたのである。

(つづく)

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