③「コロナとトヨタと入れ歯」
つい4・5月前まで誰がこんなことを想像しただろう。
6月に入り、学校なども始まり自粛ムードは徐々に緩くなっています。
南丹市では未だ陽性者は0ですが、sukkuご利用者さんは持病のあるお年寄りがほとんどですので、お年寄りを守るためにも、スタッフ皆自粛した生活をしています。
そんなコロナ、コロナの毎日ですが、sukkuのお年寄りも色々と影響をうけています。
Sukku利用者さんの7割は男性です。他のデイサービスとは逆かもしれません。そして、1週間に1回だけ、男性利用者さんしかおられない日があります。その日は、元校長先生を筆頭に男性がよく喋る喋る。教育勅語からマムシドリンクの効用まで、実に様々な話題で話が右に左に逸れます。
そんなある日、小西さん(仮名)という方が「コロナの影響でトヨタは危ないなぁ」って言うんです。
私やスタッフの頭は???コロナでトヨタ工場ストップしているから?と思い、
私「小西さん、トヨタの工場ストップしてるもんな~」
小西さん「違う、トヨタからコロナが出てるやろ。あれや!コロナ騒動で売れへんで!」
私・スタッフ「・・・??」
他の男性たち「そうや。そうや。間違えられるで!」とか「つぶれるで!」と大騒ぎ。
私たちは、最初全く意味が分かりませんでした。トヨタからコロナという車が生産されていたなんて。
さすが、元教習所教官!けど、20年前に製造中止されていますよ~。
それからというもの、私たちは毎週コロナでトヨタが危ないって聞かされ毎回大騒ぎです。
コロナの影響はもう一方。
90歳を超えた春江さん(仮名)は、いつも綺麗な姿勢でピシッと座っておられ、自宅でもご自分のことは自分でされている、一本筋の通った凛とした方です。この方は視力低下と難聴のため、眼鏡と補聴器を着けておられます。そして、感染予防のためにマスクも着けておられます。
ある朝のこと。送迎に行くと、春江さんがいない。
いつも玄関を出て道路で待っているのに・・・。何かあったのか?と、ドキッとして玄関まで迎えに行くと、眼鏡にマスクに補聴器といつもの春江さん。
しかし、何か違う・・・話をしていても、聞き取りにくい。どうしたのか。
ふと春江さんの右手を見ると、入れ歯がそこに!
しかも、上も下もどちらも手に持っていて、パカパカしているじゃないか!
どうしたん!春江さん!と聞くと、「家を出るときに、補聴器して、眼鏡かけて、マスクしたら、入れ歯を忘れたんや!」と恥ずかしそうにおっしゃるのです。
くしゃおじさんならぬ、くしゃおばさんのようで、それはそれは可愛らしい顔でした。
いつもより1つ着けるものが増えるだけで、いつものものを着け忘れる。これもコロナの影響か・・・
しかし春江さんのすごい所はそれからです。それ以降、ご利用時は眼鏡を着けてこられません。
「マスクが増えたから眼鏡を減らした」とのこと。
やはり90過ぎても凛とした人は違うなぁと感じた今日この頃。
さあ、夜はCORONAビールでも飲もうか。だめだ、コロナの影響で製造中止だった・・・。
→次回は「校長先生のありがたいおはなし」