スツール

Sukkuのクスッと笑わせて

2021.01.10 更新

⑰「Sukkuにもカメラマンがいます」

 明けましておめでとうございます。2021年が始まりました。川瀬家は、毎年初日の出を琵琶湖から眺めています。この時期は天気が悪い日が多いので、毎年毎年初日の出を見れるわけではないですが、今年もしっかり見えました。琵琶湖の水面に浮かぶ朝日を見ると何か良いことが起こりそうな予感。早速、後輩からの年賀状にスツールのコラム見ていますと一言。幸先の良いスタートを切れました。
今年はどんな一年になるだろう。楽しみがいっぱい。

今回のコラム。カメラマンと言えば竹内さんですが、Sukkuにもカメラマンがいます。
名前は三山さん(仮名)年齢は85歳で男性です。
少しの物忘れと、小脳の病気でバランス能力が低下している方です。そして、もともとだと思うのですが、ものすごくぽわーんとした方なのです。誰にでも合わせている様な感じに見えて、実は誰にも合わせていない。物事をしっかりと見ているようで、でも尋ねると何も見ていない。それでいて、誰にも不快な思いをさせない。居るとそれだけで少し安心する。何とも不思議な存在感の方です。
そんな三山さん。元々親の代から弁当屋を営んでいた家にお生まれになりました。国鉄時代(今のJR)から駅弁を売っておられ、当時は飛ぶように売れたそうです。自宅も山陰線の駅から一番近いところに建っているんじゃないか?と思うほど近く、小さい時から電車が来たらすぐに駅弁を担いで売りに出向いたそう。
三山さんとはよく話をします。5人兄弟の3番目だった。とか、一番上の兄が一番できる奴で、京大まで行った。とか、私も同志社大学を受験して受かった。けど、親が大学行ってどうするんや?って言うてきたから辞めた。とか、ほんで弁当ばっかり売ってた。など。そしてある時、電電公社(今の関西電力)の社員食堂をやってみない?と言われ挑戦。それなりに上手くしていたようですが、2・3年たったある時俺はこのまま社員食堂をやり続けるのか?と自問自答……..答えは否!
これからの時代はカメラや!写真や!と思い一念発起して天王寺のカメラ学校へ!(多分50年~40年前)そして、自宅を改装し写真屋を開店されました。
時代は、フイルムカメラ最盛期です。それはそれは売れたようです。
当時、75才になる方へ町から記念写真をプレゼントしていたらしく、その方の自宅まで行って撮影をして…と、毎日休む暇もないくらい働いたそう。
長いこと写真屋さんをやっていると大勢の方の撮影をされていますので、Sukku利用者の中にも三山さんに撮影してもらった!という方も多いんです。写真を撮られた方は忘れていないですが、撮った方は忘れているようで、三山さんはほぼ100%の確率で撮影した人の顔を覚えていません。
先日も、ある利用者さんが「私、毎年三山さんに撮影してもらってたよ!」と言われました。三山さんはここでも、「え~そやったかな~?忘れたな~。」それを聞いて私もとっさにフォローします。「三山さんはプロやから、カメラのファインダー越しに見ないとその人の顔や風景を思い出せへんのです。」と。
こんな感じで、三山さんは本当に年齢からくる物忘れなのか?もともと他人に関心がないのか?よく分からない時が頻繁にあるのです。
本人も、ぽーっとしている事は自覚しておられ、若い時からこんな感じやった気がするな~?とよく話されます。免許更新するのを忘れて半年間も無免許運転してて、たまたま、警察に免許証確認をされたときに発覚したとか。
とあるゴルフコンペで集合写真の撮影依頼があり、(ゴルフコンペで集合写真の依頼があるということはそれなりのメンバーが集まっているんですが…)みんな集めて「ハイポーズ」としたところ、「あれ~?フイルムが入ってないわ~。」なんてことも。みんなずっこけたそうです。

ちなみに、三山さんの口癖は「デジカメになってから一気に商売傾いた。僕はやっぱり、フイルムカメラやね」です。
少し前に、三山さんに利用者さんの集合写真を撮ってもらおう!という話しになりました。最初は乗り気でなかった本人も、段々とやる気に。そして立派なカメラを持ってこられ入念に準備をして、みんな並んでいよいよ撮影!となった時に私だけは気づきました。
三山さん、それデジカメやん!(写真はとても良いものが撮れました。)

また、葬儀屋さんと連携しておられ、亡くなった方の遺影写真も作られています。三山さんの凄いところは、朝でも夜でも連絡があったらすぐに写真を作ります。その写真も遺影用の写真なんてないので、小さい写真を引き伸ばし、シミを取り除いてようやく出来上がるそうです。職人技です。
本人がよく言うておられますが、「葬儀屋がなくなったらウチは終わり」というぐらい仕事がよくあるのです。

80歳を過ぎた今も、店は365日開いています。スマホでの撮影が主流になった昨今、1日一人か二人しかお客がないときもあるそうですが、老夫婦と甥っ子さんで頑張っておられます。
皆さんも山陰線の駅から一番近いと思われる写真屋さんを見つけたら、ぜひ一度寄ってみてください。 (おしまい)

次回のコラムは「80過ぎたら勝手に痩せる」です

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