スツール

Sukkuのクスッと笑わせて

2021.05.25 更新

㉖今年は例年にない早さの梅雨入り。

雨が降り続き外出できず、湿度も高い毎日。私の天然パーマは湿度70%を超えるともはや制御不能。なかなか気分の晴れない日々が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
そんな私、昨年から始めた自分なりの健康法があります。それは、毎日体重計に乗ること。そして一週間に一回ほど粗食(おにぎり1個と小鉢1つ)の日を作ることです。体重の増減は多少ありますが、粗食の日を作ることで胃を休ませることが出来ます。これで、健康管理は出来ているように感じます。実際体重は約7㎏減りましたし、毎週公園で子供と元気に遊ぶことが出来ています。仕事での疲れも軽くなっているように思います。
良かったら皆さんもどうでしょうか?粗食のススメでした。

今回のコラム「箱根八里の半次郎」


半治さん(仮名)97歳男性です。
この方は、それはとてもしっかりしていて、バイタリティー溢れる方です。
約10年前に奥さんを看取ってからは、ずっと1人暮らしでした。95歳になった頃、長男夫婦が戻ってこられ同居していますが、ほとんど自分のことは自分でされます。洗濯も風呂洗いも食事も全て自分でされていました。身体のほうは、腰が悪いため足に力が入りにくく、シルバーカーを押して歩かれていて、難聴も認めていました。
長男夫婦は母屋に、自分は離れの2階に住んでいて、毎日何回も1階と2階の往復をされていました。車の運転免許はないので、遠くへの移動は友人に送ってもらっていて、そのお礼に昼ご飯を御馳走する。という生活をしていました。
ある日、私が朝5時30分くらいに近くのファミリーマートへ行くと、シルバーカーを押したおじいさんが出てきます。なんと、半治さんです。向こうも気づいて「ファミリーのパン美味しいんや!緑色のパンが」と朝から大声で話してくれました。(半治さんはファミリーマートの事を、ファミリーを呼びます。)
そして、趣味はカラオケです。なんと90歳から始められました。毎週月曜日と木曜日の朝にカラオケの新曲が何曲か配信されるそうで、その中から自分のお気に入りの1曲をノートに書き写して覚えます。覚えると金曜日にカラオケに行って歌います。
しかし半治さんは難聴ですので、ずれまくっています。ずれていることに気づかず、そして、大声で歌いますので、地元では有名人です。
1年に1度、カラオケサークルでホールを借り切って歌う時があるそうです。その時の様子を、写真で嬉しそうに見せてくださいました。上下白のスーツで、胸元には真っ赤なバラのコサージュ!髪は七三分けで、ピシッときめています。歌う曲はもちろん「箱根八里の半次郎」です。
「足が悪いけど立ったままで歌うんや!そのために、Sukkuに来てるんや!」と、しっかりと目標を持って、一生懸命に頑張っておられました。

季節毎に贈り物をしてくれるのも半治さんでした。筍の季節には、家の裏山で取れてすぐのものをSukkuに置いてくれます。(筍を取るのはもちろん友人で、半治さんは色々と指示をされています。)冬には蜜柑を送ってくれます。かなり高級な蜜柑です。スタッフで分けて家に持って帰ると、フルーツ大好きの我が家の子供たちが感動して食べていました。
そして、桐さんはSukkuをとても好きで信頼してくれていました。
「Sukkuに来てるから、97歳になっても歩けているんや!」と、大きな声で色々なところで話してくれていました。
そんなある朝、半治さんから電話がかかってきました。「さっき仏さんに水を持っていく時にこけたんや!足に力が入らへん!先生今から見てくれ!」と。私は骨折を疑いましたので、「半冶さん!Sukkuより、すぐに病院行き!」と伝え、家族さんに病院に連れて行ってもらいました。結果は、大腿骨骨折・・・。
手術を受けリハビリも頑張りましたが、もう一度歩きたいとの願いは叶いませんでした。家で生活する事が出来なくなり、自宅近くの施設に入所することになったのです。
そして昨年、99歳で亡くなりました。大往生です。

私の家と半治さんの家は近いので、行く店も同じです。
たまに近くのファミリマートへ行くと、緑色のパンを見つけます。メロンパンです。私は心の中で思います。半治さんずーっと、ファミリーの緑色のパン美味しいって言ってたなー。蜜柑を食べているときもそうです。子供たちと蜜柑を食べていると「半治さんのくれた蜜柑ほんまに美味しかったなー」って、よく次男の緑が言います。
お年寄り相手の仕事なので、亡くなる方は毎年おられます。皆さんそれぞれに思い出があります。最近は園部のどの場所に行っても、様々な方との思い出が湧いてきます。
過去・現在・未来。どこに行っても私達の心の中には利用者さんがいます。
苦い思い出も楽しい思い出も、大切に心にしまって・・・。
明日に向かって今日も進もう。(おしまい)

次回のコラムは「17代目住職は、マジシャン」です。

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