『踊る人は元気である』
前回の盆踊りについてもう少し話したいことがある。
それは踊っている高齢者は元気である、ということなのだ。
80歳を過ぎた踊りの先生が、一度ランニングマン(時代を感じるが、昔MCハマーというラッパーが踊っていたHIPHOPのダンスの一種である)のような動きを披露されたことがある。
それ、ランニングマンやん、先生!と心の中で叫んだ。
先生の口から「リズムを感じてほしいねん」「音を聴いて踊ってほしい」「ノリが大事」
と言った、HIPHOPアーティストが使いそうなワードが次々に繰り出す。
日舞の先生が、である。
だからこの先生を好きなのだ、と思った。
わたしが盆踊りにハマったのはパッションでしかない。好き、これだけで踊っている。
そのパッションを、先生にも感じるのだ。
一度先生に踊りの道に行かれた経緯をお聞きしたことがある。それまで趣味で創作ダンスをしていて、子どもの手が離れてきたのをきっかけに、きちんと踊りを学びたいと日舞の門を叩いたという。
創作ダンス。高校時代のわたしではないか。
先生とは約四十歳ほど歳の差があるが、踊りへの飽くなき探究心、根っからの踊り好きといった面では何か通じ合うものがある。
年齢もバラバラ、どんな人生を歩んできたのかわからない同士が、輪になって踊りを踊る。
ひとりで踊っても楽しくない。みんなと踊るから楽しいのである。楽しいと笑う。
だから踊っている人は元気なのだ。
文/ 岸岡洋子