支え合いの編み物の巻
毎月10日と25日のスツール通信でのコラム、その間の2週間にも生きてると本当に色々な事が起こるなぁと感じる。
こうやってコラムを書かせてもらう事が日々の区切りになってるから、あっという間に感じながらも日々は濃いものなんだなぁと思う。
前の前のコラムの頃に実父が倒れ、検査や入院などがバタバタとあり大病を患っている事が判明し、これから闘病生活が始まる事になった。
家族中が心配したり不安な日々を過ごした2週間だった。父の心配はもちろん、夫婦仲が良く、自営業をしてるので父と長い時間離れた事ない母がガクッときてしまうんじゃないかと言う心配、父方の祖父母も落ち込んでいる心配、
いろんな心配をし、気を揉んだ。
私と同じようにおばあちゃんも(編み物の師匠の祖母)家族のことをすごく心配していて、父が入院してる間、母を側で支えている。
病院へ通う母はろくに食事とれてないのではと栄養たっぷりの食事を作ったりしている。
そんな事もあり気持ちが落ち着かず、心がざわざわし、時々ものすごい不安な気持ちに押し潰されそうになる時がある瞬間を助けてくれたのは編み物だった。
どんなに不安な時、心配な時でもちくちくと編む時間は無心になれ、いつもと変わらない時間の過ぎ方にすごく救われるのをひしひしと感じた。
月水金の編み物教室、子どもたちが夜寝てから、ちくちくする事でホッと一息つけた。
大丈夫、落ち着こうと思えた。
そんな事をここ最近感じていて、
おばあちゃんには言ってなかったのに、先日おばあちゃんの方から、「居ても立っても居られない時もおばあちゃんは昔から編み物して気持ち落ち着かせてきたりしたよ」と話してくれた。
「手を動かしてると気持ちが救われたり、ちょっと一呼吸おけるもんやの。」と。
そんな話を聞きながら、おばあちゃんもきっと色んな人生を歩んできた中にはきっと居ても立っても居られないほどの辛い経験や悲しい経験もたくさんあったのだろうなぁ、と思った。
編み物している事で、その気持ちを乗り越える手段にはなり得なくても、ちょっと切羽詰まる気持ちを解いてくれたり「ふぅ」と一息つける瞬間に救われる事があるんだなぁと感じた。
編み物じゃなくても例えば、本を読んだり、お料理したり、絵を描いたり、スポーツをしたり、そうやって一息つく為の過ごし方はきっと人それぞれ違ってあるのだろうけど、私やおばあちゃんは編み物がそうなんだなぁと思った。
病と闘う父のために編んだり、寒い中病院へ毎日通う母の為に暖かいハンドウォーマーを編んだり。
編む事で無心になれることももちろん、
今不安と闘う人へ、手編みを贈ることで昨日よりもちょっと気持ちがほぐれるようになれたら…
そうして誰かの為に編むことは同時にこちらの気持ちもすごく救われているんだな。と気づいた。
きっとおばあちゃんもそうなんだろうな。
その話しはしていないけど、そうなんだろうなと密かに共感しているのである。
またいつか、そうなの?と聞いてみよう。
写真・文 / 田畑由布子