スツール

おばあちゃんとゆふ子

2021.03.10 更新

ようこそKnitting cafeの巻

先日、奈良町のとあるアトリエでknitting cafe という編み物教室をされている事を知って、おばあちゃんと「行きたいなぁ」と話題になっていた。

月に2度ほど開催されているようで、教室料金を払ってアトリエに自分たちの編みたい物を持参して、アトリエの店主さんが編み物を教えてくれたりするそうで、お茶とおやつを食べながらお喋りをして編む時間を過ごせるというイベントをされてるそう。

おばあちゃんと「いいなぁ!楽しそうやなぁ!行きたいなぁ!」
と言いながら、ふと、この編み物教室を振り返ると、編みたい物を持ち寄って、お茶を飲んで、モーニングとお喋り。
今、自分達がしている事とほとんど同じ事やん!と言う事に行きついて、それならこれでいいかぁ!行かんでも!ワハハ〜と2人で笑い合うという、なんだそりゃというオチになったというわけです。

「おばあちゃんも昔、家でknitting cafe してたんよ、そんなええもんちゃうけどなぁ。笑」
と笑いながら話をしてくれた。
今から30年ほど前の話だそうで、近所の人やお友達から編み物を教えてほしいと頼まれて結構たくさんの方がおばあちゃんのこの家に寄り合ってみんなで編み物教室していたそう。
講師の資格をとりたかったけど家の事情で取れなかったおばあちゃんだけど、みんなおばあちゃんの腕前を知っていたので、教えてほしいと、来てくれていたそう。
みんなでおやつを持ち寄っておばあちゃんに教えてもらいながら編み物、まさにknitting cafe !
教室料金はあったの?と聞くと、もちろんナシ!「おばあちゃん講師でもなんでもないからな〜、みんな来てくれるのが嬉しいから!」と、おばあちゃんは笑っていた。
そのおばあちゃんの編み物教室で、おばあちゃんに教えてもらいながら編んだセーターをついこないだも大切に着てくれてた事や、その教室に来てくれていて、今はもうお亡くなりになったそうですが、その方が編んだセーターをその娘さんが今受け継いで着てくれている事を話してくれた。
手編みってこうしてその時の想いや、編んだ人の暖かさまるごと纏って優しい気持ちになれるのだから、宝物として大事にされているんだろうなぁと気持ちがわかる気がしたのでした。

その編み物教室はみんな仲が良かったそうで、盛り上がって修学旅行まで行ったそう。笑。みんなで揃って行き先は大阪へ、五木ひろしのコンサート!笑!!
五木ひろしのコンサートへ行き、美味しいご飯を食べて、帰りにおばあちゃんの行きつけの虹のまち(今で言う、なんばウォーク!)にある大きな毛糸屋さんがあったそうで、そこに行ってみんなで沢山の毛糸を買って帰るという、ちゃんと最後は編み物教室らしいコースだったそうです。
なんて楽しそうな教室!
そうしてそこから生まれた編み物達がまだまだ引き継がれて、今も生きているのってとても素敵だなぁと思うのです。
今はファストファッションがたくさんあり、とても安く、早く、素敵なお洋服が手に入るこの時代だけど、わざわざ時間を費やすこの手編みのセーターの良さと言うのはきっとこういうところなんだなぁと思うのです。
唯一無二でのぬくもり。

おばあちゃんの手編みを小さい頃から身に纏って大きくなったことの贅沢さにやっと気づいたように思います。

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さて、三女がお腹で臨月の頃から始まった編み物教室も残すところあと数回となりました。

そうです。待機児童だった三女の保育園が無事決まり、4月から私も本格的に仕事復帰が決まり、月水金、いままでのように編み物教室ができなくなるのです。
とは言うものの編み物が終わるわけでもなく、家でもきっと好きな時に編み続けていくのだろうし、週に一回あるお仕事が休みの日はおばあちゃん所で編み物教室を続けていくことになったのだけど、今までのようにたくさん通えなくなるのです。

いつも忙しいおばあちゃんも、この一年の、月水金は私達の時間として楽しみに過ごしてくれていたそうで、月水金の編み物教室がなくなるのは寂しいわぁと言ってくれる。
ありがとう、愛情いっぱいの編み物のじかん。

そうして私のコラムも毎月2回、定期的に綴らせてもらうのがあと一回となりました。

読んでくださった皆様、コラムのメンバーの仲間たち、お礼や締めくくりはまた最後の回で。

おばあちゃんのお庭の枝垂れ梅が満開でとても綺麗です。春の訪れをひしひし感じます。

写真・文 / 田畑由布子

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