最終回の巻
先月もお話しさせていただいたように、今日を以て最終回となる、「おばあちゃんとゆふこ」のこのコラム。
4月から仕事へ完全復帰となるので、おばあちゃんとの編み物教室も休室となります。
仕事が休みの日は一緒にしようねと約束はするものの、今までのように毎週がライフワークとなっていたこの時間はもうあと僅か。
おばあちゃんのようなおばあちゃんにいつかなりたい。与えてもらえた愛情をいつか私も渡せるようになりたい。
おばあちゃんの手作りを私も受け継いでゆきたい。
そんな気持ちから始まった編み物でした。
一年前の一話で書いたお話のように、私は今まで何度も編み物にチャレンジしたものの続いてこなかった。
でも今回は夢中になった。
編み物が、編む時間そのものが楽しくて仕方なく、まるでホッと一息つく珈琲をのむように心のリフレッシュにもなった。
娘たちを出産して母となり、今まで当たり前のように与えてもらっていた愛情の深さを改めて感じ、そして自分も与えたいという気持ちが明確になったからだろうか。
今までのように途中で投げ出したり飽きてしまうんじゃないかという気持ちは一年越しに振り返り、もう心配はなくなった。
おばあちゃんの夢だったという編み物の講師になるという夢のバトンも受け取った。
ぎゅっっと力一杯、バトンを握っている。
そして、編み物はもちろん好きだけど、私はおばあちゃんと過ごすこの時間が大好きでした。
編み物教室でたくさんのものを編んだけれど、編んでいない時間もとても長くて、おばあちゃんの話を聞いたり聞いてもらったり、季節の手仕事を学んだり、せっかく編み物しに来たのに、おばあちゃんは留守番を私に託してあっちこっちへと飛び回ってしまっていない日もあったなぁ。笑
その一緒に過ごす中でいつも感じるおばあちゃんの見返りのないあたたかな愛情。
編み物の師匠として入門したつもりだったけど、その枠を大きく飛び越えて人生の師匠と思うようになったのでした。
そしておばあちゃんはまだまだ私達を育ててくれているんだなぁと感じます。
師匠は偉大過ぎて、おばあちゃんのようなおばあちゃんになるにはまだまだ足元にも及ばないけれど、
こんな師匠を身近に、一緒に過ごしたこの時間の贅沢さはきっと何にも変え難い私の宝物の時間だった。
一つ一つの積み重ねが面となり形になる事、
間違えても大丈夫、どこからでも気づいたらやり直せるから大丈夫な事、
いつも優しい気持ちを添えて編む事、
周りが見えないほど突き詰めない事、
疲れるほどしない事、煮詰まるほどしない事、
全部編み物でおばあちゃんから教わった事だけど、これは毎日子育てでもなんでも生きていく術と重なって教えてもらったのかなぁと思う。
おばあちゃん沢山教えてくれてありがとう。
編み物も、手仕事も、そしてたくさんの人生の術を。
私はとても幸せものです。
おばあちゃんの孫で幸せです。
編み物の道はまだまだ歩き始めたばかり。
受け取ったバトンは握ってるものの、まだ準備段階な所でいるのにいきなり走り出すわけにはいかない。
いつかバトンを持って走り出せるように、これからも沢山おばあちゃんに教えてもらいながら、仕事や子育ての合間にちくちくしてゆきます。
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そしてこんなコラムという場を私に与えてくださった竹内さんや、佳代さんをはじめ、コラムの仲間の皆様、コラムを読んでくださった皆様、ありがとうございました。
文を書くのは昔から苦手でした。小学校の読書感想文もいつも頭から煙が出る思いで仕上げていた私でしたから、きっと毎月拙い文だったと思います。
でもこんな素敵な場で、素敵な仲間達と肩を並べて歩んできた1年間は、かけがえのない時間でした。
1年間 読んでくださり ありがとうございました。
田畑 由布子
一旦最終回。
また、ふらっと現れますネ。
三女・糸喜ちゃんが入園式に着るワンピース(ゆふこ作)
カーディガン(おばあちゃん作)
写真・文 / 田畑由布子