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ブッポウソウは夏にやってくる美しい鳥です。
胸からお腹にかけて光沢のある緑と翼の青色、赤いくちばしと足などどこを見てもきれいで僕が特に好きな鳥の中の1羽です。カワセミが「水辺の宝石」と呼ばれるようにブッポウソウも「山の宝石」とも言われています。でも、僕はまだブッポウソウに出会ったことはありません。今回までこの鳥図鑑では僕が見た鳥たちを描いてきましたが、最後ということでこれから僕が出会いたい鳥としてブッポウソウを選びました。
木の洞に巣を作り、空中を飛び回ってトンボなどの大きい昆虫を捕まえます。高速で飛びながらも正確に捕らえるには大きな目と口が役立っています。しかし、繁殖に適した環境が減っているようでブッポウソウの数も少なくなっています。僕がお世話になっている羽根の先生は、毎年ブッポウソウがやってくる所を知っているらしいのですが「死ぬ前に教える」と言って笑っていました。だから、ブッポウソウは貴重で大切にされてきた鳥なんだと思いました。
実は、「ブッポウソウ」という不思議な名前には秘密があります。この名前は鳴き声を言葉にして作られたのですが、その鳴き声の主はブッポウソウではなかったのです。その声の正体は「コノハズク」という小型のフクロウで「ブッキョーコォー」などと聞こえる声を出します。つまり、小さくて姿が見えにくいコノハズクが出す声は、よく人目につくブッポウソウのものだと間違えられていたのです。この間違いは双眼鏡やカメラがなかった昔だからこそ生まれた珍しい名前です。本当はブッポウソウは「ゲュー」とにごった声なのですが、見た目とは全然違うところもおもしろくて好きです。
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今回で鳥図鑑は最後です。 今まで見ていただきありがとうございました。 僕が紹介した70羽の鳥たちが集まりました。 どこにいるか探してみてください。
