スツール

ターバン女のひとりごと

2024.11.15 更新

『踊る日本人22』

毎年出演している盆踊りの舞台があった。数ヶ月前から先生の蜷川幸雄ばりの白熱した指導が始まる。

先生、87歳。毎日、踊りにお茶のお稽古に忙しくされている。前にお電話をかけた時、「今?家で時代劇見てんねや」と言われたので、え、家にいることあるんだ!と驚いた。

その元気と若さと体力はどこから出てきているのか。「ここ痛いな、思ったら風呂の中で揉みほぐすねん、これで大体治ってます」「踊りやってるからな、背筋が曲がらんようには普段から意識してる、背中曲がって踊ったらかっこ悪いやろ」

とにかくフットワークが軽い、思ったことは溜めない、好き嫌いがはっきりしてる、周りくどい言い方はしない、よく笑う、踊りが大好き。

大体他の方もそうだが、踊り好きな人は元気だ。

お祭りは大好きだが、舞台に出るのは嫌いだった。出る理由もイマイチわからなかった。なんでみんなの前で踊らなあかんのやろう?人前に出るのも嫌いだし。

ずっと疑問を持ちながら踊っていたのだが、少し前にこう思うようになった。

舞台上が自分の人生そのものだとしたら。

観客は俯瞰したもう一人の自分で、舞台上の演者は、この世に生を受けて生きている自分自身だと捉えている。

踊りとは生活全般、生きること、自分を表現すること。

せっかくライトを浴びて、「さあ、好きなように踊りなはれや、好きな人生を生きなはれ」と言われているのだから、精一杯自分を表現したもん勝ちであることに気づいた。誰が主役、と言うことでもない。みんなが主役であり、自分の人生を生きているのだから、楽しく踊って、思うように生きたらいい。

先生から教わったことにひとつ、

「とにかくな、舞台に上がったら、観客全員、わたしを見て!って感じで堂々と踊るねん」

自信なさげに踊ってたら、見てる方に伝わる。自信なくても間違っても堂々とする。

この今生きている地球上が大きな舞台だとしたら、ひとりひとりが「さあ、私を見て!」と堂々と人生劇場を終幕まで演じ続ければいいのである。

舞台本番は堂々と、楽しく踊り切った。楽しくて、楽しくて、ずっと笑いながら踊った。

終わり

ご予約ご質問