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Sukkuのクスッと笑わせて

2024.04.16 更新

 4月に入りました。

 我が家の子供たちは、長期休みになると祖父と旅行に出かけます。これは、長男が小学校入学と同時に始まりました。

まず、最寄りの駅からひとりで電車に乗り、滋賀からやってくる祖父と京都駅で待ち合わせをします。長男は携帯電話を持っていませんので、“あそこのトイレ横に集合“といった方法で待ち合わせをしているそう。電車の遅延などで、トラブル続出のスタートとなった日もあったそうですが(そのような場合、実際どのようにして落ち合っているかは不明)、無事に集合できたあとは、電車や飛行機、たまには船なんかに乗って、様々な場所へ行きます。“小学生になったら参加する”という祖父の掟に従い、数年前からは次男も参加するようになりました。旅行中、彼らから一度も連絡はないですし、私たち夫婦も各々自分の時間を過ごしています。

この春休みは今年から小学生になった姪っ子も加わり、石川県へ向かいました。震災の状況を目の当たりにしたり、北陸新幹線に乗ったり、特急電車から在来線への乗り換えを兄弟二人だけで遂行したり…今回も様々なことを体験したようです。

私たちは旅行で何があったかは、あまり詳しく聞きません。子供たちと祖父の思い出として、心の中に閉まっておいた方が良いと思っているからです。

ちなみに、長男はなぜか、祖父と旅行に行くことを「旅(たび)」と言います。

男の旅(たび)らしいです。

春休み最終日、最寄り駅まで彼らを迎えに行くと、とても疲れた顔をした子供が二人、改札から出てきました。二人とも「めっちゃ楽しかったわ!」「次は、夏休みやな!」と、早くも次回の旅を楽しみにしている様子。でもよく見ると、二人とも顔には、爪で引搔かれたような大きな傷跡がありました。帰宅後、長男が「ぼくたちのつめ切って」と、一言。

何があったかは知りませんが、男の旅に傷は付き物らしいです。

「懐かしの、ご長寿早押しクイズ!」

コラムをご覧になっている方で、ご長寿早押しクイズをご存じの方はおられますか?

日曜日の午後7時(多分)から放送していた「からくりテレビ」の名物コーナーです。

耳の遠いお年寄りや、独特な個性のお年寄りが、クイズを珍回答するコーナー。Sukkuでは、毎日がご長寿早押しクイズ状態でコミュニケーションが進行します。

今回は、Sukkuの名物看護師、片野さん(仮名)と利用者さんのコミュニケーションをいくつか紹介したいと思います。

最初に断っておきますが、看護師の片野さんは天然です。看護師として、人に寄り添うことや傷の処置・内服の管理などは、ミスなく漏れなく出来ます。利用者家族や他施設との連携もしっかり取れています。何なら、いつヘッドハンティングにあうだろうかと冷や冷やしているくらい、素晴らしい人材なのです。しかし、看護師としての専門的業務から少し離れると、天然が爆発します。なんかもう、一種の天才です。最近の言動で、私の一番のお気に入りは、飲み物を注文するときに出た一言。「アイスコーヒーのホットお願いします。」

思わず店員さんも「どっちですか?」とツッコミを入れました。だけど本人は、真面目に言い間違えています。

こんなスタッフと、ご長寿早押しクイズに出てくる様なお年寄りとの毎日が面白くないわけがありません。

ある日、片野さんが88歳の男性、登さん(仮名)に言いました。

「登さん、この前田んぼをのぞいたら、アマノジャクがいましたよ。」

登さんは、「そうけ~。」と、和やかに返事。この発言、何かおかしくないですか?

片野さんと登さん以外の人は、おかしな点に気づいて笑っています。

そのまま流されそうだったので「アマノジャク違うわ!オタマジャクシや!」と訂正。

登さんは、そもそもあまり聞こえていないので「なんか変やったか?」とのこと。片野さんは、「あれ?アマノジャクって、なんでしたっけ?」なんて言い出します。

そんな登さんは、トレーニングの休憩中にスマホでユーチューブを見るのですが、とにかく音量が爆音。先日も突然、演歌が爆音で流れはじめて場の空気が一気に居酒屋になりました。そんな時は、みんなも演歌を口ずさみながらトレーニングしたりします。

そして登さんは「これは、えーせー(衛星)で見てるんやで」と、ほかの利用者さんに説明します。月末になるとギガが足りなくなり「最近、えーせー(衛星)の調子が悪い。宇宙で何かあったな。」と説明します。もちろん私たちは、訂正せずにそのまま聞いています。

耳がとても遠い85歳の益江さん(仮名)女性。私は出会ってから15年ほど経つのですが、かなり難聴が進みました。聞き間違いがとっても増えています。

つい先日、片野さんが、ひな祭りの思い出はなにかありますか?と益江さんに聞きました。益江さんは「でんでん」と言いました。(丹波地方の高齢者は「ざ行」が言えない方が多いんです。実際は「全然」と仰ったのです。)しかし、片野さんは「でんでん」と思い、「でんでん太鼓ですか?」と聞き返しました。

すると、益江さん「でんでん太鼓は子供の時にしましたで。ええ音鳴らしまっせ」と返事。

片野さん「私も何回かしたことあります。」

益江さん「なんで、でんでん太鼓の話が出ましたか?」

片野さん「なんでやったっけ?」

いやいや、あんたの聞き間違いからや。

言い間違いに聞き間違い、伝わり間違いしてるけどなぜか会話が成立している。

こんなことが日々、あちこちで繰り広げられています。

あまりにも日常になりすぎて、改めてエピソードを思い出すことも困難なくらいです。

毎日がご長寿早押しクイズ状態ですので、楽しく仕事ができています。

この仕事をして良かった~。と思うことが多い、今日この頃です。(おしまい)

次回コラム「私の畑の師匠を紹介します!」

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