スツール

Sukkuのクスッと笑わせて

2024.03.15 更新

 3月に入り、春が近づいてきている気配を感じますね。こちら南丹市でもそろそろ梅の
見頃が終わり、桜へとバトンが渡されそうです。
先日、子供たちが読んでいる、朝日小学生新聞でこんな記事を見つけました。
「桜の開花時期の予想は、どうやってしているのか?」
皆さんはご存じですか?私は、過去の開花時期やその年の気温を照らし合わせて、大体の
予想をしていると思っていました。しかし実際は、2月1日から、毎日の平均気温を足し
ていくそうです。そして、その足していった合計が400になる日が、桜の開花予想日と
なるらしい。へ~知らなかった!
少し前、9か月連続で平均気温が過去最高を更新したと新聞に出ていました。
卒業式が桜の満開日となる日も、来てしまうのでしょうか。
これも時代の変化なのでしょうか。

64テーマ「昨日の敵は今日の友」


今回紹介する方は、美和子さん(仮名)、80歳後半の女性です。
美和子さんは、若い頃から市が運営する小児を中心とした福祉の職場で、保育士として働
いておられました。各施設の責任者を務めたり、皆を取りまとめることが得意で、一本筋
の通った女性です。また、こだわり屋さんでもあり、洋服や鞄、お化粧品や美容院、食事
に至るまで、自分が納得のいくものだけを使います。洗濯と掃除がとっても大好きです。
いつも明るく、気持ちは前向き。難聴があるので、会話のキャッチボールがうまくいか
ないこともあるのですが、それもご愛敬。聞き間違いや言い間違い、とんちんかんな答え
なんてお構いなし。みんなを巻き込みながら、話に花を咲かせるムードメーカーです。「
今日もよう笑って、よう運動した~」と、みんなが笑顔で帰って行かれます。
身体の状態は、リウマチ性多発筋症、脊柱管狭窄症、頚髄症性脊椎症などの影響で、あち
こちに痛みを抱えておられます。Sukkuでは痛みをコントロールしながら、その日その日
の体調に合わせたトレーニングを提供します。
そんな美和子さん、ご利用が始まってからしばらくして、肺炎になり入院されました。
入院中に体重が5キロ以上落ち、元々悪かった首の症状が強く出てきました。さらに足に
麻痺が生じ、手指の痺れもひどくなり、歩くこともままならなくなってしまったのです。
そのまま家に帰ることが困難になった為、しばらくの間、長男夫婦の家で同居することに
なりました。
さあ、そこから美和子さん劇場の始まりです。
長男の家で生活が始まって最初にしたこと、それは部屋の掃除です。足元がおぼつか無い
中、這いながら床掃除をされました。雑巾がけです。退院直前に、お嫁さんが掃除をした
にも関わらず…。
そうです。美和子さんは自分が納得する方法で、自分でやらないと駄目な方なのです。
予想通り、1か月ほどの同居生活で自分が理想とする掃除や洗濯が出来ない事への不満
が爆発し始めます。そして、ストレスで押しつぶされそうになった頃、お嫁さんが働いて
おられる施設の隣のケアハウスに入ることになりました。しかし美和子さん、このケアハ
ウスに入ることは私に何の相談もなかった!と、お嫁さんの悪口を言い出しました。
その施設は、自立した高齢者が生活する場所だったので、洗濯や掃除、入浴は自分でしな

ければなりません。食事は食堂に行って、そこで皆さんと一緒に食べる事になっていまし
た。私から見ると、その施設は美和子さんにとって素晴らしいところだと思いました。
なぜか?毎日、自分で好きな時間に、好きなだけ掃除や洗濯が出来るからです。美和子さ
んが譲れない、美和子さんが大事にしている習慣を尊重した、施設の選び方だと感じまし
た。
それからは、ケアハウスからSukkuへの通所が始まりました。
ですが入所後は、お話しの内容のほとんどがお嫁さんの悪口になりました。息子の家で同
居している時、数回しかお風呂に入れなかったこと。(お風呂掃除が行き届いていないと
いう理由で、入らなかった)私に合う靴を用意してくれない。(実際は何足も買ったが、
柄が気に入らない、色が納得できないとの理由で履きたくない)などなど…。それらをス
タッフが順番に聞きます。1つ聞いて、1つ運動。といった具合に誘導していきます。そし
て、帰る頃にとても元気になります。
そんな、Sukkuで心も体も元気になり、ケアハウスへ帰ってきたある日、美和子さんはな
ぜか部屋の椅子の上に立ちました。何をしたかったのか?ずっと気になっていた、棚の掃
除です。足の筋力が強くなって来たとは言え、椅子の上に立って保持する能力は全然あり
ません。案の定、椅子から転落。その影響で、手足にほとんど力が入らなくなり、痛みも
増強してしまいました。そしてあっという間に、歩くことも出来なくなりました。
もう掃除や洗濯は出来ません。お気に入りの洋服を選ぶことも、お化粧も出来なくなりま
した。食事も介助が必要になりました。
ケアハウス入所当初から、ずーっとお嫁さんの悪口を言ってきた美和子さんですが、この
時ようやく気が付きました。
お嫁さん、実は一番の理解者だったのです。
美和子さんに悪口を言われていることを知りながら、それでも美和子さんの大事にしてい
る事を、尊重し続けました。美和子さんが、どうしても譲れないもの、生きる上で大切に
している事を続けてもらえるよう、この場を提供し続けたのです。
しかし、その事実に気が付いた時には、美和子さんがケアハウスで生活し続けることは困
難でした。

その後、特別養護老人ホーム(特養)に入所された美和子さん。
意欲の低下もあいまって、少しずつ生きる気力を失っているとのこと。
生きる上で大事にしたいこと、譲れないこと、こだわり…
様々なことを改めて考え、感じた美和子さん劇場でした。(おしまい)
次回 「懐かしの、ご長寿早押しクイズ!」

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