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スツール通信~大豆田とわ子&エルピス~

2023.06.15 更新

 こんにちは、ふれあいスタジオ・スツールの竹内です。早速ですが、最近ドラマづいてます。TV放送では観ないですが、何年も遅れてサブスクで観ます。

1年程前、まだTVを頻繁に見ていた頃、たまたま夕方にスイッチオンすると、「大豆田とわ子と三人の元夫」とかいうドラマの再放送をやっていて、それがたまたま最終回だった。しかももう終盤だったから何のこっちゃストーリーが全然分からない。全然分からないけど、ボクを釘付けにした! なんて美しい映像なんだ!! 夜のシーンばっかりやのに、美しすぎる。 「アリー my LOVE」以来の感動かも。

24年前、師匠から教わったことで、今も一番気をつかっていることは、、、

「明るい印象の仕上がりを目指すために、レンズは明るい方向に向ける。」

ウェディング写真の専門だった頃、ホテルウェディングの時なんかは、室内だし暗いし照明は遥か上の方だし、すごく難しいシチュエーションでよく泣かされた。けれど、ローアングルにして斜め上の天井目掛けてカメラを構えると、人物の向こう側に幾つものシャンデリアの列が美しく写り込む。更にストロボの真っ白い光を人物の真上の天井に当て、バウンスさせることで、白熱球の暖かなオレンジ色の光を散りばめる撮影手法を取り入れた。ピントがピタッと合えば、それはそれは穏やかな温もりあるオレンジと白の間くらいの色合いのキレイな写真に仕上がったものだ。ちょうどその頃に、「アリー my LOVE」は放送していて、ストーリーそっちのけで、室内の光と陰の美しさに目を奪われたり、前ボケのアングルを多用していたからとても為になった。

しかし「大豆田とわ子と三人の元夫」は、それを遥かに超える映像美だった。

それから1年が過ぎたつい先々週、ふっッと思い出した。あッ、もしかしてサブスクで観れないかなぁ。えーっ、観れるやん、ヤッター! 2021年のドラマを今時分、、3日間で全10話を観ました。どのシーンも背景美を練り上げられていて、ワクワクニヤニヤ感激しましたー。自分と同じ思いで仕事をしている映像カメラマンがいてくれたことに感動。紐解くと、このカメラマンさんはやはり、光りに定評があるようです。もう少し紐解くと、なんとこのドラマの脚本は今を時めく坂元裕二さんじゃーあ~りませんか! ストーリー展開もとてもよかったので、大いなる納得です。 しかし次に紹介するドラマで、もっと深い繋がりに驚嘆しました。

そうです、「エルピス」との出逢いです。昨年秋に放送されていたドラマですが、やっぱり竹内家はゆっくりなので、遅れて知りました。知ったきっかけは先週です。大根仁という監督のSNSをたまたま見て、でもかる~くスルーするつもりが、あれ、長澤まさみ氏との2ショット画像がやたら多いなぁこの監督! なんで、? ん、エルピス? ドラマ? 興味ないし、、! あっでもギャラクシー賞を取ってる。えっなになに? と思っていた次の日、このエルピスのエグゼクティブプロデューサー・佐野亜裕美さんという方の記事が京都新聞に出ていた。 オッとタイムリーやん、とか思いながら軽く読んでみると、とても重く深く驚いた。この企画を立ち上げた頃はTBSの社員だった佐野さん。観てないけれど、ドラマ・カルテットとかをプロデュースされていたようです。が、エルピスは、冤罪と腐った政治とウソで固められたようなTV報道局の裏側を暴く内容なので、当然タブー。。企画は通らず、、脚本家・渡辺あやさんも諦めようと言われた。しかしこの佐野さんのすごい所、、、TBSを退社。そして企画を通してくれた関テレに入社し、数年がかりで放送に漕ぎつけたという内容の記事だった。お二人は大根仁監督に直接依頼されたと、インタビュー記事を読みました。

運よくサブスクで期間限定配信中だったので、3日間で全10話を観ました。 素晴らしかった。 女子アナ役の長澤まさみ氏は、言いたいことを言えず、沢山のことを飲み込んでしまっているので、体調が変になり、いつも吐き気を催す。それを水で促す毎日。 以前ボクの友人から、言いたいことを我慢していると、次第に声が出なくなったという話しを聞いたことがあったので、とてもリアルに思えた。

狂った国や報道の世界から幾度となく、闇に呼び込まれ闇に潰される人たち。身体を痛めながら立ち上がろうとする。最終話で長澤まさみ氏はとても大切なことに気づき、いっきにエンディングへと向かう。このシーンの背景から包み込む光の映像は必見です。そしてなんとまたまた賞を取ったようです。ギャラクシー賞に加え、放送文化基金賞と迫真の演技だった長澤まさみ氏には、演技賞! スツールからは、共演者の眞栄田郷敦氏にスツール演技賞を授与いたします(笑)

そしてそして驚くことに、ぜーんぶ観終わってもう一度色々紐解いていくと、なんと、、「大豆田とわ子と三人の元夫」のプロデューサーは、佐野亜裕美さんだったのです。 どちらもわれらが関テレです。 そしてギャラクシー賞どころか、2021年の賞を総なめしていました。

いつか会って、命がけのお仕事にお礼を言いたいです。

ほんとにありがとう。

 

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