『踊る日本人③』
ここ数年中止されていたお祭りも、今年はようやく盛り上がること間違いなし、と鼻息荒くいるのだが、どうも身近に盆踊り好きという同世代の方々に出会ったことがない。
むしろ遠巻きに見られている感。
五年ほど前の祭でトランス状態で踊っている姿を、知り合いのママさんたち数人に目撃され、「めちゃくちゃ踊っていて凄すぎて声かけられなかった!」と後日報告を受け、「あの中に飛び込むのには勇気いるわあ」と皆口を揃える。
どうやら盆踊りの輪の中に入ることは、ハードルがちょっぴり高い様である。
そして盆踊り=お年寄り世代のものというイメージも強く、私が踊っているとたまに「なんで?」と驚かれることも多い。
なんで?って・・
好きだからに決まってるのだが。
盆踊りは五百年以上の歴史がある民俗芸能で、先祖たちが文字でなく身体で記憶し伝えてきたものである。
老若男女、様々な境遇の人々が一緒に踊れる民衆の踊りなのである。
地位や名誉がある人もない人も、酔っ払ったおっちゃんも、マイペースに踊るおばあちゃんも、日本語が片言の外国人も、威勢の良い若者も、可愛い子供たちも、みんな笑い合って踊る。
そこに境界線はなく、あるのはみんなの笑顔だけ。最高じゃないか。
昨年の祭りで、中学生男子たちが輪の外で「うわあ、踊りたいけど、踊れねえ・・!!」とモジモジしていた。
思春期真っ只中の彼らが興味を示してくれただけでも嬉しいし、しかも踊りたいと言っている!
「一緒に踊ろう!適当に踊ったらいいねん!」と声かけるも、踊りたいけど周囲の目が先行して中々輪に入れない。
そんな中、振りはめちゃくちゃだが楽しそうに輪の中で踊っている女性が目に入る。聞くと台湾から観光で来られたらしい。
「メッチャ、タノシイデス!!」と狂喜乱舞している。彼女は身振り手振りでちゃん踊れなくても参加することを心から楽しんでいる。
私が初めて輪の中に入ったのも、「なんか楽しそう!!」とハートが喜び、気づいたら身体が動いていたのである。
「あれ?なんか、これ知ってる!!」という日本人としての遺伝子が反応したのかもしれない。
あの中学生の子たちも、それを十分に感じていたはずなのだ。
おじいちゃんおばあちゃん世代だけじゃなくもっと下の世代が率先して楽しんで、盛り上げることが必要なのだ。
なんかわからんけど楽しい時間を。
そんな想いでせっせと保存会の練習に通ってる訳なのだが、先日思いも寄らぬ出来事が起こった。
つづく