スツール

Sukkuのクスッと笑わせて

2020.11.25 更新

⑭「ひ孫やと思てます」その1

冬を思わせる朝と夜が来たと思ったら、秋の初めに戻ったような気候の日も。
川瀬家の今回の登山は妙見山に挑戦しました。妙見山は大阪と兵庫の境にある山で標高は約660メートル。ハイキングコースもしっかり整備され歩きやすいコースでした。そして、紅葉も見ごろで多くの観光客で賑わっている所でした。最近登山をしていて気づいたことがあります。それは、私がとても下山(下り坂)に弱いことです。下山しているとしばらくして膝がガクガクしてきます。それは常に後ろから膝カックンをされていて、膝の力が抜けるような感覚になります。ですので、踏ん張りがききません。下山の最後の方は膝を曲げて歩けないので、膝を伸ばしたまま歩くという変な歩き方になり家族に笑われます。そして、下山中によくこけます。1度登山に行くと下山中1度や2度はこけます。最近私もこけることが分かっているので上手にこけるようになっています。お年寄りにこけたらアカンと言ってますが、私の方が転倒回数は多いようです。

今回紹介する方は益代さん(仮名)81才女性です。
この方との出会いは私が独身の時、約12年前になります。出会った当初は夫の博さんのリハビリを担当していて、益代さんはいつも私と博さんの話す姿を見て笑っておられました。博さんはいわゆる堅物の職人気質の方で繊細。それでいて、とても喧嘩っ早い方でした。
博さんの若いときのエピソードはいっぱいあります。地元のお祭りでは、気分が良くなると喧嘩して警察のお世話になることは毎年で、身柄引き渡しに益代さんがその都度行って警察に平謝りする。年に1度の家族でのハワイ旅行では、真珠湾攻撃についてアメリカ人と現地で大喧嘩になったりと滅茶苦茶なことをしてこられた方です。顔は強面で話しづらい雰囲気の方でした。しかし、話してみるとよく話すし、物知りやし、笑った顔はとても優しい方で、益代さんはずっとぞっこんでした。
博さんは子供をとてもとても大切に育てられました。子供の学校の送り迎えを義務教育の間の9年間毎日したそうです。少し遠い学校に通っていたので、約1時間車に乗せて雨の日も風の日も雪の日も送ったそうです。
博さんが亡くなって7年が過ぎましたが、今でも私と二人だけになると益代さんは博さんの話しをされます。あの時こんな話ししたとか。旅行でどこいったとか。亡くなって7年が過ぎるのにそんなに思われて幸せやなーといつも思います。

益代さんには妹の裕子さんがいます。裕子さんは美容師で今でも仕事をされています。
裕子さんはとても社交的で誰とでも話が出来る方です。私もいつからか裕子さんと知り合いになり、出会うと何でも話しをする仲になりました。
裕子さんの自宅と美容室の間にSukkuがあり毎日自転車で前を通られます。子供たちは裕子さんを見つけると、「ゆうこさーーん」と呼ぶのが日課になっていて、手を振ってもらったのを確認してから幼稚園へと向かいます。
息子さんが市場で働いておられるので、新鮮な野菜もよく頂きます。Sukkuに誰もいないときは入口に野菜が置いてあったりもします。どれも全部美味しいです。
裕子さんはもちろん着物の着付けも出来るので、私の奥さんも大変お世話になっています。驚かされるのが着付けの料金。もう20年以上値段を変えていないらしくかなり破格。そして、なぜかその場での支払は断られ、後日、Sukkuの前を裕子さんが通った時に支払うシステムとなっています。

益代さんには娘さんが3人います。そのうちの一人が順さん。順さんは産まれた時から聴覚障害があり、普段は手話で会話をされます。これまで色々と苦労もされたそう。でも持ち前の明るさで、私たちにいつも元気を分けてくれます。

こんな風に、益代さんを中心に家族ぐるみのお付き合いをさせて頂いているので、私たちの子供も益代さんの事が大好きです。

そんな益代さん、子供の誕生日は絶対に忘れません。子供と言っても益代さんの子供ではありません。私の子供達の誕生日です。11月は長男・楓、3月は次男・緑に、毎年誕生日プレゼントを用意してくれるのです。子供の誕生日は教えていないのになぜ益代さんは分かっているのでしょうか?それは、京都新聞の丹波版に載っていたからです。と言っても毎年毎年子供の誕生日が新聞に載るわけではありません。丹波版には、前日に産まれた子供の名前と父親の名前が載ります。そう、それを切り取って残していてくれてるのです。7年前の新聞をです!カードケースに大事にです!毎日持ち歩いてくれているんです!
本当にありがたいことです。
益代さんに、毎年ありがとう!と伝えると決まってこう言います。
「川瀬さんは、孫どす。楓ちゃん・緑ちゃんは、ひ孫や思てます。」
これを聞くたび、私は天国にいる博さんに、これからも益代さんを大切にしていきます。とつぶやくのでした。(つづく)

次回のコラムも益代さん続編「ひ孫やと思てますその2」です。

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