『光待つ場所へ』辻村深月
大学二年の春。
自分の「感性」に自信のあった清水あやめは、同学年の彼の作品を見て、
圧倒的な敗北感を味わうことになり…(「しあわせのこみち」)
恋人と別れた大学生・藤本昭彦。
本来は彼女と行くはずだったベルリンを、ひとりで訪れて….(「アスファルト」)
前回紹介した『冷たい校舎』や、同じ辻村作品の『凍りのくじら』に登場する人物が顔を出す、「扉の開く瞬間」を描いた短編集です。
私のおすすめは、「しあわせのこみち」です。
私は、かなりあやめに似ていると思うところもあって、読みすすめている間、かなり共感して「突き刺された」感じでした。
この本を読むにあたって、ひとつすすめたい読み方があります。
『冷たい校舎』や『凍りのくじら』をそろえて、この本が先でもいいけれど、その2作を読んだうえでこの本を読み返してもらいたいです。
辻村作品の魅力がつまっていて、おすすめです!
文・写真/ 木下琴子