スツール

おばあちゃんとゆふ子

2020.05.25 更新

基礎がダイジの巻

月水金の午前
 いよいよ始まった編み物教室。

「寒いなぁ、コーヒーのもか」とおばあちゃん。
「のむのむ〜!」
編み物教室と言えど、ここはおばあちゃん家。
 私はおばあちゃんを編み物の師匠と思って習いに来たけど、おばあちゃんにとって私は生徒でもなんでもない、孫の私。
「編み物を教えてほしいと言ってきた“孫”」なのだ。

“編み物わたしにもできるかな”とちょっぴりの緊張した気持ちを持って向かった気持がほぐれた気がした。

 コーヒーを淹れてくれて暖かいブランケットをかけてもらっていつも通りの他愛もない話をして、ちょっとドキドキしながら聞いてみた。
「わたしにできるかなぁ、編み物。おばあちゃんみたいに」
おばあちゃんは笑顔の即答で「できるできる〜〜」
 おばあちゃんはいつもそう、いつもどんな時も認めてくれてここまで育ててくれた。

そう言ってくれるとわかってたけどホッとした。心のどこかでまた途中で上手くできなくて、飽きてしまわないかちょっと不安な自分がいたからおばあちゃんのその一言がほしかったのかもしれないなと自分で思った(笑)

 おばあちゃんみたいなおばあちゃんにいつかなりたいなと言うのは、編み物の技術はもちろんだけど、人柄もこうでありたいといつも強く思う。無敵なおばあちゃんだなぁ、暖かく優しく強い。

「道具は買わんときや、なんぼでも貸したるからな」と言って見せてくれたおばあちゃんの道具。おばあちゃんお手製の棒針入れからいろんなサイズの年季の入った棒針がズラ〜!!

 カッコいい。すごい。
 こんな数々の棒針で私たちのセーターや帽子、いっぱい編んでくれてたんだなぁ。
 道具は全部使い込まれていて、素敵だった。

 まずは作り目とメリヤス編み、表編みと裏編み。

編み物の基本中の基本の編み方
これが出来ないと始まらない。

「こうして、こう編む」
 おばあちゃんはざっくりした大雑把な性格(笑)
 教え方もざっくり、擬音が多め。でも不思議とわかる。
 編み物の本で見たり、YouTubeでおばあちゃんの教え方よりも遥かに詳しく説明されてる動画をみても全然わたしの頭に入ってこないのに、何故かおばあちゃんのざっくりした説明の方がわかりやすく、私の頭にスッと入ってくる(笑)
 大まかに教えてもらってメリヤス編みはすぐ手に馴染んで編めた。
簡単な編み方、誰もが知ってる編み方だけど、改めて久々に編むとやっぱりとても楽しかった。
「これが基本で、縄編み(アラン模様)も全部、この編み方からなんでも編んでいく、とにかく基礎が大事」と教えてもらった。
「これが出来たらもうなんでもできる。なかなか筋がええわ」
 おばあちゃんは大雑把だからいつもなんでも大きく、大げさに言うとわかっていたけど
(笑)おばあちゃんがまた今日も認めてくれて、自信がついたのだと思う。
 そしてそのおばあちゃんの言葉がベースになってどんどん編み物の楽しさに引き込まれていったように思う。
編み物は基礎が大事と教えてもらった編み方。
編み物を続けたいという気持ちの基礎も今日、おばあちゃんに育ててもらったような気がした。
 お腹の子が生まれるまで、何か一つでも形になったもの編めるかな?
そう思った、習い始め。

写真・文 / 田畑由布子

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