『君型迷宮図』久米絵美里
ある日、記憶を失い、見知らぬ人間たちの中で目覚めたぼく。
サノ、イチ、リョウというらしい彼らは、なんとここは世界の記憶が集まる「記憶迷宮」だという。でもサノたちは何かを4かくしているようで…。
とまどいながらも、3人についていったぼくは、迷宮のゴール、連合長に会うための道のりで、さらにうたがいを深めていくが・・・。
朝日小学生新聞で連載されていたのを読んで、大好きになりました。元本モトコさんのさし絵もとてもかわいいです。
また、比ゆや描写がおもしろいです。
『台風がかんしゃくを起こしたあとのような散らかり具合を見せている部屋を、死んだ魚のような目で見つめていた』とか、
『サバンナか、はたまた動物園の檻の中で暮らしていたとしても、出会うライオンの頭の数はひとつなのではないだろうか。それとも、ぼくはあんな怪物がうようよしているような星に生息する宇宙人か。』とか書いてあって、おもしろいです。
ラストに感動するので、ぜひ読んでみて下さい!
文/ 木下琴子