お客さんのコラム6/25版

人生で不思議な人に出会うことはないだろうか。

独身時代に暮らしていた寺町のアパートに、魔法使いの様な風貌と気配のする、ばあさんが住んでいた。

ばあさんの部屋の扉は常に10センチほど開けられており、中から聞いたことのない音楽が流れていて、恐ろしすぎて近寄れない。

たまにアパートの出入り口で顔を合わすと、その度に至近距離で私の顔を凝視し、「あんたどこの留学生や?」と聞いてくる。何度も「私は日本人です」と人生で初めてのフレーズを口にしたが、ばあさんは決まって「で、どこ?中国?」としか返さなかった。このばあさんにだけ、外国人に見えるのだろうか。

子供がまだ赤ちゃんの時のことだ。抱っこ紐でバスに乗り、そろそろ降りる準備をし始めようと思った瞬間、今まで静かだった隣の体格の良い女が急にこっちを見て、

「ちょっと!!早く降りなさいよ!!」と烈火のごとく叫んだのである。周囲の視線はこちらに集まり、私はびっくりしすぎて、ぽかんとしてしまった。抱っこ紐の中の息子も、ぽかんとしている。

一瞬時が止まり、我に返っていそいそと下車し、「おかしな人もいるもんだわね」と思いながら、横断歩道の信号を待っていると、その女が猛烈な勢いで追いかけてきた。

そしてこう言い放ったのである。

「ちょっとあんた!自分のこと外国人やと思ってるんやろ!!でも、ぜんっぜん、外国人には見えませんからっ!!」

唐突すぎて、私も息子も、周囲にいた人も皆一様にぽかんとした。

女は鼻息荒く、「じゃっ」と言い捨てててどこかへ消えて行った。

しばらくして「あ、ターバン」と私は思った。このターバンがあの女から見たら、外国人気取りに見えたのだろうか。それともエスニックなピアス?

理由はよくわからないが、不可解過ぎる。

阪急電車に乗り換え、ぼんやり窓の外を眺めていたら、前の座席に座っていた上品なおばさまがやけにこちらを見てくる。

あの女を思い出した。また外国人かぶれと思われているのだろうか。もうなんでもいい、と思った。

長岡天神駅に着き、席を立とうとした瞬間、おばさまは私の手を止めた。

「あの、ちょっと、あなた。そのターバン、本当によく似合ってるわね、素敵よ。それが言いたかっただけ、ごめんね」と微笑んだ。

その一言に心が緩んで「ありがとうございます」と会釈して下車する。

抱っこ紐の中の息子は、やはりぽかんとした顔で私の顔を見つめていた。

絵・文/ 岸岡洋子

23期スツールフィルムカメラスクール(S.F.C.S)の生徒さん。5回の教室の間ずっと、ターバンを巻いてくる岸岡さんを見ていて、この人いかしてるなぁ。ハッハーン、きっとただ者ではないんだろう。アラブ方面のどこかで長ーく暮らしていて、きっと身についた風習なんだ、だからなんだ!と、身勝手に納得感を得ようと在り来たりな空想をしていたのをよく憶えている。


 6月の朝は、なんて気持ちがいいのでしょう。このところ、わたしは朝4時半ごろに目覚めます。それはちょうど夜明けの時間。空はまだ明けきっていなくて、庭はひんやりして薄い水色の空気に包まれています。ものの色は光があたってこそ見えるのだなあと、つくづく思います。だんだん夜が明けてくると、光のつよさが増してきて、草木の緑がくっきりと濃さを増してくるのです。さあ、朝です!

 土曜日の朝刊に、ある習慣についてのコラムが載っていました。筆者は、毎週決まった日の朝に、次のような事柄をノートに整理して記すのだといいます。①連絡したい人 ②今すすめたいこと ③将来やりたいこと ④提出する課題…のように。

 で、今朝わたしは日記を書いたあと、これをまねて書き出してみました。ただし、項目は自分に合うように変えて……。①今やりたいこと ②今やるのがたいせつなこと ③はずせない予定 ④この先やりたいこと、の4つです。
 ①はだんとつ1位で、読みかけの本の続きを読みたい、でした。そのあと、朝の散歩でフィルム写真を1本撮りきりたい、もうすぐ編み上がるセーターを完成させたい、映画を観たい……とまだまだ続きます。

 もうお気づきと思いますが、①と④は、「やりたいこと」です。文字通り、わたし自身がやりたーい! と思うこと。今か将来かの違いがあるだけです。一方、②と③は「たいせつなこと」です。たとえば家の水道が壊れていたら、今すぐたいせつな家族のために修理を頼まないといけません。愛猫の定期検診があすだったら、忘れないように獣医さんに行かないといけない。つまりこれらは、自分と周りの人の暮らしを守るために必要な、たいせつな事柄です。

 こうしてみたのは、ある建築家が書いていた文章を思い出したからです。そのひとはこう言っていました。

「人生にはやらなければならないことと、やらなくてよいことがあるのではない。たいせつなことと、やりたいことがあるだけなのだ」

 やらなければ、やらなければ、と自分を追いつめるのはやめましょう。やりたいか、たいせつかで、考えればよかったのですね!

 さて……またまた長い前置きになってしまいましたが、わたしは、やりたいこととたいせつなことを同時にひとつ、思い出しました。このコラムを書かなくちゃ。です。今日の本はこの本にしてみました。

『お繕いの本』
  野口光 日本ヴォーグ社

  デコのお便り初の手芸ムック本です。
 野口光さんはダーニングの作り手。つまり、かけはぎ修繕技法の専門家です。野口さんはもともと、25年以上もデザイナーとして、毎年新しいデザインや商品を作り出していました。でも次第に、季節に先駆けてどんどんものを作る現場の仕事に、矛盾や疑問を感じるようになります。そんなときに出会ったのが、ダーニング。ちくちく手縫いで破れやほころびを繕うことで、新たな美しさを生み出す針仕事でした。

 ダーニングはふつうの手芸と違って、作品を完成させることが目的ではありません。愛着のあるもちものが朽ちてしまう前に、修繕して、別の形に育っていくことを手助けする仕事です。

「傷みを育てることが楽しくなれば、衣類と自分、ものと自分の関係も自然と変わってくるでしょう。自分の身の回りのものに、自らが手をかけることがどれだけ気持ちを整えてくれるか。」

 と、野口さんは書いています。
 また、3年前に出た『野口光の、ダーニングでリペアメイク』にはこうあります。

「繕いとは、自分の手でものの延命の一端を担いながら、さらには自分や他人の心までも癒してくれること。」

 野口さんは以前イギリスで行われた、テキスタイルアーティストのセリア・ピムと、生物神経学の研究者リチャード・ウィンゲイト博士の共同研究プロジェクトを報告しています。

 ピムさんはダーニングを、ウィンゲイト博士は「解剖実習が医学生に及ぼす心理的影響」を研究していたのですが、ふたりは、外科手術とダーニングが、「繕い」という共通点をもつことに気づきます。そこでピムさんは、医学生たちが解剖実習を行うかたわらで、ダーニング作業をしました。そのような行為が、解剖実習室の学生たちにどのような影響を及ぼすかをみようとしたのです。

 持ち寄られた素材は、学生たちが着古したシャツやパジャマ、ジーンズなどです。そしてピムさんは、なぜそれを持ち込んだのか、持ち主とそのものとの関係性はどういうものかを聞き出しました。たとえばシャツの肘が擦り切れていたりすると、その人の生活の仕方や癖を発見でき、その人をより理解できるようになるというわけです。

 ピムさんは次のように言いました。

「どんなに上手くいった修繕でも、決して新品のようにはならないが、再び使えるようになり、ものへの慈しみがわいてくる。それは、ものも体も同じ。同じ空間で、医学生たちと解剖(傷んだ場所を解く)、検証(傷み具合を見る)、縫合(縫い合わせる)という修復作業を共有することこそが、大切だと気づきました。」

 それに対し、ウィンゲイト博士はこう分析したのです。

「ひたすら繕うピムさん。その姿が実習室の空気の流れを穏やかにし、学生たちの志に寄り添うことで心を鎮めたのではないか。」

 さて、わたしの「①今やりたいこと」リストにダーニングが加わったことは、もうおわかりでしょう。そしてもうやりはじめちゃったのです、30年前から愛着している、袖口の擦り切れたセーターで!

 この2冊の本には、ダーニングのやり方が、手にとるように丁寧に書いてあります。どうぞ手に取ってみてくださいね。また、このコラムの初回(2020年5月)に書いた、藤原辰史著『分解の哲学』にも、「修理の美学ーーつくろう、ほどく、ほどこす」という、とても深い内容の章があります。よかったらそちらも読んでみてください。おすすめします。

写真・文/ 中務秀子

2018年・第27期のフィルムカメラ教室の生徒さんとして、お付き合いが始まりました。今もフィルムカメラを続けてらして、二眼レフカメラにも挑戦中。デコさんは本好き、映画好き、芸術好き、お話好き。いわば “ 忙しいひまじん ” です。とても自由で全然気取ってない表現に親近感を覚えさせてくれる先輩です。そして心友になりました。


『神の島の子どもたち』中脇初枝 ※講談社文庫

第二次世界大戦の末期。

奄美群島の小さな美しい島・沖永良部島に暮らすチジョーカミは、家族を失い、食料にも不自由する日々を送っていた。

それでも唄い、踊り、ひたむきに生きる一。

先日6月23日は「沖縄慰霊の日」だったのをご存じですか?

沖縄は、アメリカ軍が上陸し、3か月にわたる戦いが行われた土地です。

しかし、沖縄だけではない奄美群島の島々にも、知られざる戦争の歴史があるのですよね。

この本は小さな島・沖永良部島の物語です。

島の方言、島ムニで書かれている言葉も多く、読みにくいかもしれませんが、戦争について、平和についてを、この本を読んで改めて考えて欲しいと思います。

一度手にとってみてください!

文・写真/ 木下琴子

2006年3月からのお付き合い。琴子ちゃんが生まれる前から撮影をさせて頂いてます。小学6年生になった今も記念日ごとには必ず、スタジオやお好きなロケ場所で撮影させて頂いてます。埼玉県からお越し下さいます。幼い頃から、本が好きと撮影のたびに僕に話してくれた琴子ちゃん。読みたい物語がまだまだ沢山あると思うと、これからが楽しみとも話してくれた。そんな琴子ちゃん目線の書評を毎月2回、依頼しています。


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 アオサギは、田んぼや川、池で1年中観察できる身近なサギです。

じっとしていることが多く歩いてもゆっくりなので写真もとりやすいです。

田んぼではザリガニやタウナギをとり、川や池では小魚もとります。

えものをとる時は、ちぢめていた長い首をいっきにのばしてつかまえます。

春になると婚姻色(こんいんしょく)といってくちばしの色が変わったりします。

アオサギの場合は、くちばしの先が黄色ぽくなったり、目の先が水色っぱく変化します。

はんしょく期には、「コロニー」という集団の巣をつくります。

「コロニー」はほとんどのサギ類がつくります。

「コロニー」は京都御所の九条池で見ることができます。

おもしろいと思ったことは、年によってもくちばしの色が変わることです。

若いアオサギはオレンジ色などをしているけど年をとったアオサギは灰色などをしているからです。

アオサギを見た時はくちばしにも注目してみてほしいです。

ここでクイズです。

アオサギは日本で1番大きいサギ類ですがつばさを広げると約何mになるでしょう? 

1. 約1m

2. 約1.2m

3. 約1.4m

4. 約1.6m

5. 約1.9m

正解は次の鳥図かんで発表します。

最後に前回のクイズの答えを発表します。

正解は、

2.のシマヒワでした。

 

絵・文/ 中野響

お姉ちゃんとひーくんが生まれる前の、2005年10月から撮影をさせて頂いてます。今も2~3年に1回は必ず、スタジオや城陽のご自宅で撮ってます。小学6年生になったひーくんは、この前の撮影の時に鳥に魅せられていると話してくれた。それが小学生レベルの鳥好きの話ではなく、僕からすればもう学者レベル。しかも視点がユーモラスなのでこれはスゴイ!是非、図鑑を作ろうと盛り上がり、WEBという形で毎月2回、発表してもらっています。


コラム「85歳!マスターズ狙います!」

 夏至を迎え6月も後半に入りました。川瀬家にも大きな変化がありました。
南丹市に来てからずっとアパート住まいでしたが、つい先日一軒家というものを構えました。奥さんの生まれた年に出来た、平屋の元靴屋をリノベーションして住むことに。ラストの床のワックスがけは家族みんなでしました。1日がかりでしたが子供たちも頑張ってくれました。「引っ越ししたくない!」と言っていた子供たちでしたがすっかり気に入ったようで、作業が終わる頃には「早くここに住みたい!」と言ってくれました。引っ越しても学区が変わることもなく、車で5分位の所に移動するだけですので生活はほとんど変わらないのですが・・・。私は新しく出来た小さなお友達と離れることが、少し淋しいです。

さて、今回紹介するのは85歳の西田さん(仮名)男性です。
西田さん、畑のわきの溝を飛び越えようとした時に右足が「プチッ」・・・アキレス腱断裂です。そして、即入院手術となりました。退院後も経過は順調でしたが、もっとリハビリがしたい!という思いから介護保険を申請されます。そして、要支援2との判定を受け、Sukkuの利用が始まりました。
利用開始の時から歩くことは出来ていましたが、片足立ちや踵上げ運動が出来ませんでした。それもそのはずで、右足のふくらはぎがペロペロに薄く右足と左足の太さが全然違いました。そこで、私はまず第一段階で片足立ちがキープ出来るようにする。第2段階で踵上げが出来るようにする。そこまでの目標設定をしました。
ご利用がスタートしてから分かった事ですが、西田さんは今までのご利用者さんの中で一番真面目に取り組む方でした。私が自宅での自主トレーニングを提案すると、必ず提案した回数以上を毎日取り組まれます。その成果もあって、第一段階の片足立ちをキープする事はすぐにクリアできました。
次に片足での踵上げです。これが時間かかりました。両足ではスムーズに出来ますが片足では腕の力を使って挙げてしまいます。本人もアキレス腱再断裂の怖さから、なかなか出来るイメージが湧きません。
 Sukkuは介護保険を利用して来ていただく施設ですが、その介護保険には皆さんそれぞれの期限があります。期限がくると更新の申請をするのですが、西田さんは5月31日がその期限でした。その期限までに踵上げが出来るように頑張ろう!みんなも、ご本人も頑張りました!そしてなんとか、5月25日に片足での踵上げが出来ました!
さて、いよいよ介護認定の更新です。私たちとしては、かなり元気になられたので介護保険からの卒業も視野に入れていたのですが・・結果は要支援1でした。
本人は「まだSukkuに来れる!」と喜んでおられました。
さぁ、2段階の目標をクリアしましたので、次の目標設定です。
小走りしたりスキップしたりと色々と課題を出しました。その時は出来なくても1週間後にはクリアしてきます。決して運動神経は良くはないですが、努力して出来るようになります。そうなると、西田さんの長期的な目標を立てるのが難しくなってきました。
西田さんは、車の運転も草刈りも階段の上り下りも全て自分で出来るからです。
私は考えました。何か良い目標はないだろうか?と
考えました。。。
出ました。
それはマスターズ陸上出場です。

マスターズ陸上とは
マスターズは、ベテランズとも言われ、男女共に満18歳以上であれば、競技成績に関係なく、生涯楽しく同年代の人々と競技ができます。競技クラスは5歳刻みであるため、5年毎にクラス別 の最若手となり記録更新・上位入賞のチャンスもあります。
また、全日本大会に出場できます。アジア・世界大会へは、35歳以上であれば出場できます。 (マスターズ陸上ホームページより)

私はこれを見つけた時に、これだ!と思いました。そして早速、西田さんに伝えました。すると、本人は少し困惑気味に「えっ・・・」
そらそうです。アキレス腱断裂からようやく普通の生活に戻れたところです。その状態でいきなり陸上の大会を目指しましょう!と言われても困るでしょう。
しかし、私は来年のSukku5周年記念に、西田さんのマスターズ出場と100メートル日本新記録の樹立を目指しています。ちなみに、85歳の100メートルの日本記録は15秒8です。(今の私より速いかも・・・)頑張れ!西田さん!!(おしまい)

次回のコラム「今年でホタルも見納めや~」です。

写真・文/ 川瀬啓介・未央

Sukku 川瀬啓介 / 未央 (理学療法士・鍼灸師 / 鍼灸師)
〒622-0002 京都府南丹市園部町美園町4-16-38

TEL 0771-62-0005

2017年から京都の南丹市でリハビリを中心としたデイサービスをしています。利用者さんと過ごす時間は、笑い声と涙が入り混じる賑やかな毎日です。そんなささやかな日常、会話から気付かされること、そして個性派揃いのスタッフについて…色々な事を綴っています。

2011年11月からのお付き合い。楓くん・緑くんが生まれる前から撮影をさせて頂いていて、今も1年に1回は必ずスタジオ撮影にお越し下さいます。Sukkuというデイサービスの屋号は、佳代が名付けさせて頂きました。飾らない温かさ、自分の好きが明快で、歯切れがよい。けれど、流れる時間はゆっくり。そんなお二人の人柄が大好きで、バランスを崩した時には体を診てもらおうと決めているから安心です。笑いと涙のデイサービスの日々を毎月2回、綴ってもらってます。