8月に入って、お米が足りなくなるという事が起きました。周りが田んぼだらけのこ
こ南丹市でさえも、しばらくお米がありませんでした。お米に関して、私がずっと気
になっている事。それは、お米の値段の安さです。
税理士でもある利用者さんが、こんなことを言っていました。以前は自分で田んぼ
を3反程度していたがここ数年は高齢で作れなくなったので、苗の管理から農薬散布・
稲刈り・お米の乾燥・精米・田んぼ周囲の草刈りなど、それらを全部頼んでいるが、
毎年20万円の赤字になる。とのこと。
では、なぜ作り続けているのか?それは、先祖代々守ってきた田を自分の代で止め
ることが出来ない。田を放っておいて草が生え放題になると、周りの農家さんに迷惑
がかかる。だから止められないらしいです。
南丹市では個人で田んぼを続けることが難しくなり、営農組合を作って集団で続け
ておられる地域もあります。ですが、その世代もほとんどが70歳代。あと10年も
したら、組合自体の存続も不可能になるところがあると思います。
日本の自給自足率を上げるためにはお米の値段を上げること。これが、農家が農家と
して継続できる、一つの方法じゃないのか?などと考える今日この頃。
私も家庭菜園を通じて、我が家の自給自足率を上げていきます。
この冬は美味しい白菜を作るぞ!
「私はぼけ太郎」
今回の利用者さんは、太郎さん男性。94歳の方です。
太郎さんとの出会いは約一年前、Sukkuへ見学に来られた時です。太郎さんの他に、
担当のケアマネージャーと奥さんも一緒に来てくださいました。来所された時から独
特の雰囲気を醸し出している太郎さん。何だか少しへらへらしています。これは一波
乱ありそうな予感。
見学の途中、看護師が過去の病歴や現在の生活について伺うと…その予感は的中し
ます。例えば「股関節を手術されましたが、何歳ぐらいの時ですか?」という質問に
対して「う~ん、そうですね~息子がアメリカの大学病院で医者してましてね。日本
に帰って来て、大学病院に戻れって言われたんですけど、世話になった上司の病院に
行ったんです~はっはっは」と回答。すると、隣にいた奥さんが怒りだします。「違
うやん!股関節のことを聞いたはるんや!」と問いただします。太郎さんは「あ~股
関節ね。だいぶ前にしましてね。いや~もう大丈夫ですね。それより膝があかんです
ね。はっはっは~。」と返答。すぐさま奥さんの合いの手が入ります。「この人は身
体が弱いのに無茶する人で、股関節やら手首やら手術してね~。結婚してすぐに結核
になって、1年間入院して、しかも親と同居で、兄弟も多いし、それはもう大変でした
!」と続きます。すると、太郎さんも「いや~妻も大病しましてね。ガリガリに瘦せ
てしまって~、はっはっはっ~。う~ん、心配してるんですよ。」その後も二人は、
会話?喧嘩?をしながら、話しを脱線させながら、内容は無茶苦茶な方向に…。そし
て最後には太郎さんが「まぁね、私は大丈夫だから、妻をここに通わせてください
。」と言う始末。その場にいた全員が「え!?」と言いました。
結局、太郎さんの意志は固く、なぜか奥さんが利用することに。そして奥さんの利用
開始から1か月後、太郎さんの利用も始まりました。(結局来るんかい!)
そんな太郎さん、読書が好きで意外と物知り。若いころは材木屋をされていたそう
で、仕事中に両股関節の骨折や手首の骨折など、これまでたくさんの怪我をしていま
す。また、耳は難聴気味で、会話をしていてもちぐはぐなのは、そのためだったので
す。(早よ教えて…)少年のまま大人になったような太郎さん。裏表もありませんし
、何かを隠すこともほとんどありません。ちぐはぐな感じは強烈だけど、決して嫌な
気持になることもありません。奥さん曰はく、「あの人は、自分が損をすると分かっ
ていても相手に得をさせる人なんです。私が何回注意しても直りません。私はいつも
その後始末で疲れます。」とのこと。うまく表現できないけど、誰にもない魅力の持
ち主なのです。
相変わらずどんな問いかけにも、いつも同じ調子でちぐはぐな返答しかしてくれな
い日々ですが、そんなキャッチボールにも妙な心地よさを感じていたつい先日、太郎
さんから驚く発言があったのです。「いやね~私は大学時代から、『お前は聞かれた
ことと全然違うことばっかり答える!』と、よく注意されていたんですよ~。だから
友人たちからはね、『ぼけ太郎』って言われてましたね~はっはっは~。」
昔から話通じてないやん!難聴関係ないやん!
つい先日、太郎さんからSukkuに電話がありました。
「もしもし私、いつもお世話になっております、ぼけ太郎ですが・・・。」
(おしまい)