病と闘ったお父さんの、最後の、フィルムの写真です。
寄り添い合う夫婦の肖像を撮影させていただきました。
真っ青な空と心地よく吹く風の中、お父さんは大好きなウクレレを弾きながら、、お母さんと撮ったり、お父さんひとりで撮ったり、家族みんなで撮ったりしました。
そしてそのあと少しして、、、 お父さんは逝かれました。
できあがったこの写真を見て、
「今までで一番気に入っている、宝物!」
そう言ってくださってたと聞いて、体じゅうが熱くなりました。
あの日、ボクのレンズに向けられたお父さんの命と、三重の太陽の光と、フィルムカメラのシャッター音は、忘れることはありません。
何度かこういう経験をさせていただいてますが、写真撮影には最後のチカラが漲る何かがあるのかも知れません。死への覚悟は、尽きる日が来るまで生ききるという思いだと僕は思います。
フィルム写真は、被写体が放つ光を焼き付けたという証しです。 生き物すべての本能として、フィルムカメラを構えられると、より美しい光を放とうとするのだと思います。
お父さんの光は、ひときわ美しかった。