①中村さんのトイレ事件

エッセイ

あれは開設してすぐの頃、とある施設から通って見える80歳代、男性の中村さん(仮名)のお話しです。
年齢を重ねると色々なところに不調が出てきますが、この方は耳が遠く心臓も悪いために、尿の出が悪い方でした。暑い夏の午後、お迎えに行くと顔がとても浮腫んでおり、何とか歩ける状態。施設の方に笑顔で送り出され、なんとか送迎車に乗り込み、次の利用者のところへ行きました。
しばらくすると後ろから「う~。でる~」という悲壮感漂う声が・・・。
急いで車を田んぼのそばで停めて確認。「どうしたんですか?」
すると、「もうあかん」「ション〇ンでる~」これはいかん!周りを見渡すと誰もいない。「中村さん外や!」外に出て広い田園風景の中でなぜか電信棒に向かって用を足す中村さん(犬か!!)
しかし、全くでない。しかたなく、次の利用者さんを乗せて再び移動。またもや「う~。でる~」
奇跡的にコンビニがあり、手を引っ張ってトイレへ行くと使用中・・・
(以下、トイレ前での会話)
中村さん「う~でる~」
私「中村さん大丈夫!もうすぐやから!」
中村さん「おい!早く出てこい~!」
私「もう出てきはるしな。」
中村さん「もうあかん・・」
私「もう少しの我慢やで!」
中村さん「でた~」
私「あ~・・・。」
と耳の遠い中村さんに聞こえるように、店内に響き渡るような大声で会話。
すると、トイレから恐々した顔で女性が出てこられ一言「すみません・・。」そして走るように店外へ。
(いやいやこちらこそ、本当にすみません・・・。)
半ばあきらめながら便座へ誘導。そして、しばらく座ってから中村さんが一言。
「う~。。。でない」(でーへんのかい!!)
結局1滴も出ず・・・
その後、20分遅れでsukkuに到着。看護師の判断で最終的に施設に戻り、病院受診されました。
病名は尿閉。(そらでんわ!!)
その後、何日か休んでから何事もなかったように中村さんは復帰されました。(めでたしめでたし)
次回は中村さんのそれからです。

→ 次回は「②そうか。あれは中村さんの遺言だったのか・・・。」

写真・文 / 川瀬啓介 未央


2011年からご縁が始まりました。今も毎年スタジオで家族撮影をさせて頂いている川瀬ファミリーに、「Sukkuのクスッと笑わせて」を書いてもらっています。いいタイトルを付けて下さいました。2017年、リハビリを中心としたデイサービスの事業所を開くので屋号を付けてほしいとお声を掛けて下さり、妻の佳代のアイデアでSukkuが決まりました。こんなに優しい体のプロは見たことないです。

Sukku 川瀬啓介 / 未央(理学療法士・鍼灸師 / 鍼灸師)

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