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お客さんのコラム9/10版

2020.09.10 更新

今号は先ずは特別編から。

つい先日、毎年の撮影に来てくれた小学校1年生になったショウゴ君。生物が大好きなショウゴ君は毎回、絵を描いてくれたり、お話しをしてくれる。

今回もそっと紙を渡すと、少し恥ずかしがり屋な性格なのに、紙と鉛筆を持つといきなり強くなり大胆になる。

何にも見ずに筆の迷いもなく、スラスラスラ~ッと描き上げる。

裏表に書いてくれたから裏映りしてますが、デザインされたイラストを見て、おぉー、今迄で一番いい!一番好き!。

速攻スキャニングさせてもらいました。この図案の手ぬぐい欲しー!

ショウゴ君ありがとねー。

ちなみに、裏のひらがなはお父さんの字です。ショウゴ君がお父さんが落書きしたと言って、あとでハサミでカットしてました。

撮影5分、お絵かき・お喋り115分。 こんなに楽しいスタジオです。

上の絵:フェネック・ペリカン・フェネック・カバ・カバ。

下の絵:ティラノサウルス・モササウルス・ステゴサウルス・スピノサウルス・モササウルス・モササウルス。


喜びを編むと知る の巻

あれからおばあちゃんはまだまだマスクを作り続けている。
月水金の編み物教室にいくといつもマスクが並んでいる。
なんでも、納品するとすぐ売れるとのこと。
すぐにまた作ってとオーダーがきて、納品しては売れ、の繰り返しで「もう300は作ったな〜アハハ!」とおばあちゃんはタフに笑っている。
それに加えて最近はエコバッグも作っている。レジ袋有料化になって、「これも今、喜ばれる」と言って、かぎ針編みで家にある毛糸を集めて素敵なエコバッグを作って周りの人に配っている。
何か作っては、その時喜んでもらえる人に渡したり、おばあちゃんの手作りはいつもそのベース、そこからブレない。
素敵だなぁ、と思う。
すごいなぁと思うのと同時に最近はおばあちゃんが、その中で自分の喜びに変えている事もすごくわかるような気がする。

私もおばあちゃんに編み物を教わるようになって、次編むものはあの人に渡したいな。
あの人はこのミトンが似合いそう、このマフラーが似合いそう…
気づくと編み物はいつも自分のものより、誰かにあげたくて編んでいる。
喜んでもらえると嬉しくて、その人の事考えながらちくちく編む時間もとても好きで。
なるほど、この喜びって味わうとやめられなくなるな〜、じんわり暖かくなるこの感じ

自分の手で作ったものを喜んでもらえて、こちらこそ嬉しい。
おばあちゃんもこんな気持ちなのかなと思いながら、おばあちゃんが今まで私たちに編んでくれた物を思い出しては、更に嬉しくなる。

三國万里子さんも、本の中でこんなことを記されている。

“人と関わって、何かを生み出すということの中にしあわせがあるんだな、とこの頃思います。
たとえば家族のためにご飯を作ること、仲間と仕事をすること、そしてセーターを編むことの、瞬間瞬間の動きの中にただ寝っ転がっていてしあわせになれるのはきっと仙人くらいで、普通の人間は何か一生懸命やってこそ楽しくなれる。
そういう風にできているんじゃないでしょうか。″
【三國万里子さん うれしいセーター より】

自分の手仕事を通して
人との間に生まれる喜びは
楽しくて仕方ない事を知りました。

そんな喜びを感じて編む時間は
編み物を教わる前よりも日々を豊かにさせてもらっている。

こないだ夫に編んだセーター
おさらいのつもりで、もう一つ編んでいたものも完成。
これは、おばあちゃんのオペなし、お直しなし、編み直しなしで完成したのでここで載せておきますね。

写真・文 / 田畑由布子

こどもちゃん達が生まれる前の、2012年11月からのお付き合い。葵子ちゃん・季なりちゃん・糸喜ちゃんの3姉妹5人家族になった今も年に2回、必ずスタジオや名張市のご自宅で撮影させて頂いてます。編み物の師匠・おばあちゃんのお話しを聴かせてくれたユフコちゃん。面白くてあったかくて、色んな人にも聴いてほしいと思い、毎月2回、綴ってもらってます。


⑨「大事な会議で前歯が吹っ飛んだスタッフの紹介」

今回はSukkuのスタッフを紹介したいと思います。
開設準備から一緒に働いているスタッフがいます。名前は樋口さん。
年齢は私より少し上。以前勤務していた病院の同僚でしたが、家庭の事情で私より先に病院を辞められていました。
樋口さんの良いところは、とにかく飛びぬけて明るいところです。話し上手で、声が大きく、それはそれはとても大きな声で笑います。樋口さんがいるだけでその場は明るくなります。そして、困っている方に対して、一歩踏みこんでお節介が出来る。そう、何事にも一生懸命なのです。その姿を病院勤務時代に見ていたので、Sukkuを始めるときにまず、最初に頭に浮かんだパートナーは樋口さんだったのです。
開設する約1年前、居酒屋に樋口さんを呼び出しました。そして、理念などを伝え一緒に働いてくれないかと声をかけました。ヘッドハンティングです。返事は「OK」でした。

 開設してからの樋口さんの働きは、私の予想以上でした。Sukkuにお見えになる方は皆、樋口さんのトークを聞きに来ているのではないかと思うほどで、いつも笑い声がたえません。もちろん、持ち前の絶妙なお節介も発揮。利用者さんだけでなく、ご家族、ケアマネージャーなど、様々な人からの信頼を得て、どんどん突き進みます。
そんな樋口さん、明るく元気で頼りがいのある、とても気の強い姉御肌なのですが、正義感にも溢れているのです。
そのためなのか分かりませんが、良いことも悪いことも樋口さんには集まってきます。
例えば、最近問題になっているあおり運転。通勤途中にあおられて、腹が立ち、追い抜けないように車を道の真ん中に横向きに停車。あおってきた車を停めさせ、「何あおってんねん!」と一喝。すると、あおった車は窓を開けずに何かを言っている。あ~そうや。ワイドショーであおられて因縁つけられても窓を開けるなって言うてたな~。って、逆やん!
他には、車を運転中に竹やぶに人影と倒れた自転車が。何かおかしいと感じ、車を停めて見に行くと変質者発見!樋口さんは車を出て、変質者めがけて猛タックルをお見舞い。もちろん変質者はノックアウト。一緒に乗っていた夫が女子高生を確保し、警察に通報!これも逆やん!その後、変質者は余罪も見つかり、逮捕されたとのこと。後日警察に表彰をさせてくれと頼まれるも、当たり前の事をしただけと、断固拒否。
そんな、勇気と正義みなぎる樋口さんですが、仕事中に調子の悪かった利用者さんが亡くなったとの報告を受けると電話中でも泣き出します。そして、電話が終わると目を真っ赤にしながら仕事をします。
私は、樋口さんのことを見ていると喜怒哀楽の表現者!と思ってしまうのです。

 さて、私たちのような介護サービスに携わる事業者は、ご利用がスタートになる前に必ず、色々な職種が集まって会議をします。その会議で利用者さんの普段の様子や体調などを把握したり、今後の目標などを話し合います。
あれは、昨年の夏でした。新しく利用が始まる方がおられ、その方の自宅で、本人・妻・ケアマネージャー・他事業所スタッフ・樋口さんが集まり会議がありました。
その会議中、樋口さんがいつもの軽快な口調で話しをしていたのですが、急に声が小さくなり話すのをやめたのです。そして、大きく深呼吸をしてまた話しをしようとしたそのとき・・!「カラン」
なんと声を出そうと口を開けた途端、歯が飛び出てきたのです。最初、周りは何が起こったか理解できませんでした。しかし、樋口さんの顔を見ると前歯がないのです!樋口さんも恥ずかしそうに飛んだ前歯を探しています。そこで、ようやく何が起こったかみんな理解し、大笑いに。大事な会議なのに周りの人たちは、樋口さんの前歯が飛んだことしか印象に残らない会議になった!と言っていました。
聞けば、中学の時にソフトボールが当たり、前歯が抜けてそこから差し歯にしているとのこと。そういえば、私と話をしているときも一度前歯が抜けたことがあり、大笑いしました。人って前歯がないとすごく間抜けな顔になります。今でも樋口さんは、半年に1回は前歯が抜けそうになり急いで歯医者へ通っています。

ちなみに、このコラムを私が書いていることは本人には内緒にしていますので、自分のことを書かれているなんて全く樋口さんは知りません。
もし、知ったら・・・。
喜怒哀楽が爆発して前歯が飛ぶ、樋口さんを想像しながら終わります。 (おしまい)

次回のコラムは 「正美さんのベルトは、いつも反対」です。

写真・文/ 川瀬啓介・未央

Sukku 川瀬啓介 / 未央 (理学療法士・鍼灸師 / 鍼灸師)
〒622-0002 京都府南丹市園部町美園町4-16-38

TEL 0771-62-0005

2017年から京都の南丹市でリハビリを中心としたデイサービスをしています。利用者さんと過ごす時間は、笑い声と涙が入り混じる賑やかな毎日です。そんなささやかな日常、会話から気付かされること、そして個性派揃いのスタッフについて…これから色々な事を綴っていこうと思います。

2011年11月からのお付き合い。楓くん・緑くんが生まれる前から撮影をさせて頂いていて、今も1年に1回は必ずスタジオ撮影にお越し下さいます。Sukkuというデイサービスの屋号は、佳代が名付けさせて頂きました。飾らない温かさ、自分の好きが明快で、歯切れがよい。けれど、流れる時間はゆっくり。そんなお二人の人柄が大好きで、バランスを崩した時には体を診てもらおうと決めているから安心です。笑いと涙のデイサービスの日々を毎月2回、綴ってもらってます。


前回のコラムから2週間。そのあいだずっと、愛猫ももの看病に明け暮れていました。急性膵炎という、もも生まれて初めての命にかかわる大病でした。ももは、あとひと月で18歳というおばあちゃん猫。いつ”その日”が来てもおかしくない、とは思っていたものの、前日までとても元気にしていたので、まるで覚悟ができていませんでした。
 順調に回復するかに見えた病状が、途中でガクンと悪化。夜中、次男とふたり、眠っているももの前に座りこんで、はらはらと泣いていました。でもそこから……ももは無事、快復しました! うれしい! 命っていつまでもあたりまえにあるものではない、と思い知った2週間でした。

 さて、そんな日々も落ち着いてきて、この本を手に取りました。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
 ブレイディみかこ 新潮社

 4月にCovid-19に感染したイギリスのボリス・ジョンソン首相が、一時は重症になりながらも回復して、「みなで協力して社会的距離のルールを守りましょう!」と、国民の目をみつめて力強いメッセージを送ったときには、なんてかっこいい! と感心したものでした。

 しかし、その彼の属する保守党こそ、2010年に悪名高い緊縮財政政策をはじめた張本人。それによってイギリス社会は、これでもかというほど福祉や教育への財政をカットされ続け、大きな格差が生まれました。移民、EU離脱問題、人種問題、貧困……。紅茶や愛らしいチェック柄やアンティーク、といった甘いイメージのイギリスは、もう単なる観光目的でしかないのかもしれません。このあたりところは、ケン・ローチ監督の映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』(2017)にも印象深く描かれています。

 この本は、イギリス在住20年、元音楽ライター(ロックにくわしい!)で現保育士の、ブレイディみかこさんが書かれたものです。タイトルの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、11歳の息子さんのノートの隅の走り書き。日本人の母とアイルランド人の父をもつ彼のちょっとブルーな日々。子どもたちの日常にもある人種差別や教育格差の問題が、まざまざと描かれているのですが、ブルーどころか、うらやましいほどきらきらとした青春の日々が書かれていました!

 息子さんの通う中学は、低所得者層の多い街中の底辺中学。緊縮の波をもろにかぶる彼らを、熱心な教師や、ボランティアをつとめる保護者の努力が支えます。入学式直後に行われるのは、なんと演劇のオーディション。新入生は入学してすぐに演劇に取り組むのです。クリスマス・コンサートでは、社会風刺バリバリのラップを熱唱。イギリスでは、幼稚園のころから言葉で感情を表現する教育がたいせつにされていて、自分の思いをきちんと言葉にして相手に伝えることを叩きこまれるといいます。

 また、シチズンシップ・エデュケーション(市民教育)が充実していて、ある日息子さんに出された課題は、「エンパシーとは何か」でした。そこで彼は、「他人の靴を履いてみること」と答えました。
 エンパシー(empathy)とよく似た言葉に、シンパシー(sympathy)があります。どちらも「共感」と訳されますが、シンパシーは、かわいそうな立場の人や自分と似た意見をもつ人に寄せる「同情」。一方、エンパシーは、自分と違う考えをもつ人や立場の違う人が、どんなことを考えているのだろうと「想像する力」のことだと。だから他人の靴、なのです。

 このほかにも、分断とか格差といった問題についても、それはつきつめれば、「だれかを仲間外れにして、こっち側だけでなかよくしよう」ということと同じではないか、とか、自分と違う考えや感性をもつ人は実はたくさんいる、と知ることこそ、無知から離れておたがいの理解に近づく生き方である、など、眼から鱗のセリフが、いきいきとした子どもたちの生活そのものから、バンバン飛び出すのです。

 いやはや、なんてかっこいい! 画一的一斉教育の日本からは考えられない、まったくもってうらやましいのです。いや、うらやましがっていられるほど事態は甘くはないのでしょう。でも、彼らの波風を立ててでもなんとかよくしていこう! とする態度には、たくましさと同時に、ある繊細な善意を感じました。
 ほんとうの多様性とは何か、いろんな人といっしょに生きるとはどういうことかを、深く考えさせられた素晴らしい本でした。

写真・文/ 中務秀子

2018年・第27期のフィルムカメラ教室の生徒さんとして、お付き合いが始まりました。今もフィルムカメラを続けてらして、二眼レフカメラにも挑戦中。こどもと大人の絵画造形教室 / コッコ・アトリエを京都の一乗寺でお仲間とされています。デコさんは本好き、映画好き、芸術好き、お話好き。いわば “忙しいひまじん” です。とても自由で全然気取ってない表現に親近感を覚えさせてくれる先輩であり心友です。

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10ページ

今回で鳥図かんは10回目です。今までにのせた鳥たちの中から3種類選んで、見分け方をしょうかいします。

まず、キツツキ類(コゲラ)たちの見分け方です。アオゲラとヤマゲラは、体が緑です。アカゲラ、コアカゲラはおなかにもようがなくて、オオアカゲラだけななめにもようがあります。アオゲラとヤマゲラもおなかのもように注目して下さい。クマゲラは、その名の通り黒く、大きめです。頭もほとんど赤色なので、見つけるのもかんたんかもしれません。

次にチドリ類(コチドリ)たちの見分け方です。イカルチドリはコチドリ(鳥図かん8/10版参照)に、よく似てるけど、よく見ると目の周りの黄色い部分の太さがちがいます。太い方がコチドリ、細い方がイカルチドリです。シロチドリは、足が黒色をしています。目の上からのびる線もありません。チドリ類は、判別がむずかしいのでぜひ図かんを見ながら観察してみて下さい。

最後に、ハヤブサ類(チョウゲンボウ)の見分け方です。ヒメチョウゲンボウはチョウゲンボウによく似ているけど、つばさのもようがなくよく見るとつめがはい色です。コチョウゲンボウは、つばさと頭は青色をしているので分かりやすいです。アカアシチョウゲンボウは全体的に黒いけど、くちばしと足は赤色をしているのが特ちょうです。

もぐるカモともぐらないカモの見分け方は3つの内どれでしょう。

1. くちばしが太いか細いか。

2. 尾羽が上に上がっているか下がっているか。

3. つばさの先が丸いかとがっているか。

答えは次の鳥図かんで発表します。

最後に前回の答えを発表します。

正解は 3の 水辺の土手や樹洞でした。

絵・文/ 中野響

お姉ちゃんとひーくんが生まれる前の、2005年10月から撮影をさせて頂いてます。今も2~3年に1回は必ず、スタジオや城陽のご自宅で撮ってます。小学5年生になったひーくんは、この前の撮影の時に鳥に魅せられていると話してくれた。それが小学生レベルの鳥好きの話ではなく、僕からすればもう学者レベル。しかも視点がユーモラスなのでこれはスゴイ!是非、図鑑を作ろうと盛り上がり、WEBという形で毎月2回、発表してもらっています。


『愛なき世界』三浦しをん

洋食屋の見習い・藤丸が恋した本村は、植物の研究者のタマゴ。

料理の出前を口実に研究室へ通うが、本村は植物(シロイヌナズナ)の研究に明け暮れている。殺し屋か死神みたいな教授、サボテンのトゲを透明化させる後輩など、変わり者たちの中で、本村の研究・藤丸の恋は成就するのか。

本屋大賞ノミネート作品です。装丁が綺麗ですてきです!

文章の細部が面白く、

「洋食屋と銘打ってはいるが、円服亭のメニューはカオスだ」

とか、

「迎えにいったはずの死者が、思いがけず元気に酔っ払って腹踊りをしているさまを目撃した死神みたいな表情」

などなど。

面白いです。ラストは意外・・・!?

ぜひ読んでみてください!

文/ 木下琴子

2006年3月からのお付き合い。琴子ちゃんが生まれる前から撮影をさせて頂いてます。小学5年生になった今も記念日ごとには必ず、スタジオやお好きなロケ場所で撮影させて頂いてます。埼玉県からお越し下さいます。幼い頃から、本が好きと撮影のたびに僕に話してくれた琴子ちゃん。読みたい物語がまだまだ沢山あると思うと、これからが楽しみとも話してくれた。そんな琴子ちゃん目線の書評を毎月2回、依頼しています。

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