スツール

お客さんのコラム8/10版

2021.08.10 更新

前回の盆踊りについてもう少し話したいことがある。

それは踊っている高齢者は元気である、ということなのだ。

80歳を過ぎた踊りの先生が、一度ランニングマン(時代を感じるが、昔MCハマーというラッパーが踊っていたHIPHOPのダンスの一種である)のような動きを披露されたことがある。

それ、ランニングマンやん、先生!と心の中で叫んだ。

先生の口から「リズムを感じてほしいねん」「音を聴いて踊ってほしい」「ノリが大事」

と言った、HIPHOPアーティストが使いそうなワードが次々に繰り出す。

日舞の先生が、である。

だからこの先生を好きなのだ、と思った。

わたしが盆踊りにハマったのはパッションでしかない。好き、これだけで踊っている。

そのパッションを、先生にも感じるのだ。

一度先生に踊りの道に行かれた経緯をお聞きしたことがある。それまで趣味で創作ダンスをしていて、子どもの手が離れてきたのをきっかけに、きちんと踊りを学びたいと日舞の門を叩いたという。

創作ダンス。高校時代のわたしではないか。

先生とは約四十歳ほど歳の差があるが、踊りへの飽くなき探究心、根っからの踊り好きといった面では何か通じ合うものがある。

年齢もバラバラ、どんな人生を歩んできたのかわからない同士が、輪になって踊りを踊る。

ひとりで踊っても楽しくない。みんなと踊るから楽しいのである。楽しいと笑う。

だから踊っている人は元気なのだ。

絵・文/ 岸岡洋子

23期スツールフィルムカメラスクール(S.F.C.S)の生徒さん。5回の教室の間ずっと、ターバンを巻いてくる岸岡さんを見ていて、この人いかしてるなぁ。ハッハーン、きっとただ者ではないんだろう。アラブ方面のどこかで長ーく暮らしていて、きっと身についた風習なんだ、だからなんだ!と、身勝手に納得感を得ようと在り来たりな空想をしていたのをよく憶えている。


 はあ……暑い。もうこんな一言しか出ませんね。みなさんこの2週間、どう過ごされてされていたでしょうか?
 わたしはオリンピックは全く見ない、しずかな毎日でした。そして、愛猫ももと、去年の今頃は大病したけど今年は元気でよかったねえ、と語り合ったり、終わりの見えないコロナのことを案じたり……。いろんな思いがゆきかった日々でした。ただわたしは、今日も一日機嫌よくしていよう、ということを、日々の大命題にしていますので、またまたいろいろなことをしていました。

 前回も書いた、カラスのトマト襲撃事件。賢いカラスには、わたしの仕掛けたテグスなど、なんの問題もなかったようです。カラスはテグスの下をくぐりぬけ、地面をトコトコ歩いてきて、下からトマトをツンツン……。
 ほぼ10対6(わたしが10、カラスが6)というところで、わたしは思ったのです、もうカラスと半分こでいいや、と。するとどうでしょう、毎日ストレスだったこのことが、もうなんでもなくなり、心が軽くなったのです!
 ただわたしはいま少し考え、ある方法を思いつきました。それでカラスはあきらめたのです! 道具は何もなし……。それはただ、カラスより早起きするだけ。カラスがお山の寝ぐらから出てくる前に、トマトを収穫してしまうのです。トマトはまだ少し青いけれど、追熟すれば真っ赤になるから大丈夫。いかがです? カラスとの知恵比べのこの成果。でもカラスにもだいぶん分けてあげたから、いいですよね。

 さて、暢気な話はこれくらいにして、今日ご紹介する本は……

『ケアとは何か』(副題:看護・福祉で大事なこと)
 村上靖彦 中公新書

 著者、村上靖彦さんは、精神病理学・分析学が専門。この本では、医療・福祉現場における対人援助職にある人々(ケアラー)の語りに耳を傾け、彼らがその実践の場で見聞きし学んだことのエッセンスを、つづっておられます。
 といっても、決して専門的な話ばかりではなく、子育て、介護など、わたしたちのふだんの生活におけるケアの場面にも通ずる語りで、大いに学びになる本だと思いました。

 病や障害などの支援を必要とする人は、弱っている人、困っている人です。彼らは多くの場合、孤立しています。彼らのサインをどうやって受け取るか。受け取った思いをどう実現していくか。ケアの目的は「生の肯定」です。どうしようもない苦しみからなお、生の肯定へとつないでいく。ではどうやって? それがこの本の主題です。そしてゴールは、ただ支援者が当事者の苦痛を緩和したり、身の回りの世話をすることだけではありません。苦しみの当事者が、自分の力を発揮しながら生き抜き、自分の願いにそって行為することなのです。

 そのゴールに向かって、ケアの現場では、「生を肯定する」「出会いの場をつくる」「小さな願いごとを大切にする」「落ち着ける場所を持つ」「仲間をつくる」、といった、シンプルでかつたいせつな主題をめぐって、さまざまな試みが繰り返されます。

 ある看護師の体験をご紹介しましょう。
 彼女の病院に、クモ膜下出血の男性が運びこまれます。もう意識はありません。彼は地方から出稼ぎに来ていました。遠い地からかけつけた妻は、夫から切り離され、慣れ親しんだ地域からも離れて、孤立して病院の廊下でぽつんと寂しそうに座っていました。そこへかの看護師が通りかかり、声をかけます。

「『旦那さん、今、なんて言うと思います?』とか、そんなふうな言葉がけをして、『しっかりするようにってたぶん、言うと思います』とか、そんな話をしているなかで(……)ちょっと準備ができているなと思ったので、『こうやって背中に手を入れて、ぎゅって抱き締めたりできるんですよ』って言って。そんなふうなのしてもらって、ふっと患者さん見たときに笑っていたんですよ」

 この看護師の声かけは、突然断ち切られてしまった夫婦の関係性に出会いの場を探り、つながりを回復させました。看護師は、孤立していた妻の言葉に、夫との別れに向き合う覚悟を感じ取り、最後の出会いの場を用意しました。このときこの看護師は、単なる医療従事者ではなく、この妻に寄り添い、そばに居る、真の仲間になっていたのです。

 病や死は逆戻りができないことです。人のさまざまな苦しみも簡単には解決できません。それでもなお、寄り添いつづけ、耳を傾け、ただそばに居る、それがほんとうのケアラーの存在でしょう。

 わたしたちの身の回りも見回してみてください。あの人、この人、動物たち、植物たち。なじみのお店屋さん、公園、本屋さん、散歩道。わたしたちを日々ケアしてくれているものの存在に気づきます。そして、そこに「わたしが居る」ことで、その場をわたしもケアしているのではないでしょうか。みなさん、この苦しい不条理な日々を、いっしょに乗り切っていきましょう。

写真・文/ 中務秀子

2018年・第27期のフィルムカメラ教室の生徒さんとして、お付き合いが始まりました。今もフィルムカメラを続けてらして、二眼レフカメラにも挑戦中。デコさんは本好き、映画好き、芸術好き、お話好き。いわば “ 忙しいひまじん ” です。とても自由で全然気取ってない表現に親近感を覚えさせてくれる先輩です。そして心友になりました。


『図書室で暮らしたい』辻村深月

地元の温泉で出された、キンキンに冷えたコーラ。

小学生のころ、いとこから教わりショックを受けた『ジョジョ』。

直木賞受賞が決まった翌日、保育園からの帰り道。

世界をきれいに彩る、辻村深月の好きなものー。

私の大好きな辻村さんのエッセイを紹介します。

みなさんの好きなものはなんですか?

大好きな、大切なものはありますか?

この本に描かれた辻村さんの「好き」は、読むとしあわせになるような、ニコニコしてしまうような、自分の世界にまできらめきを与えてくれるものばかりです。

子ども時代の辻村さんと同じく、本やマンガ、アニメ、映画たちが、ものすごく好きな私だからかもしれませんが、

「そうそう、わかる!」ことばかり。

帯にある「辻村深月の“好き”は知ったら戻れない! 読むと世界がきらめくエッセイ集」

という言葉が、そのとおりだと思いました。

ミナペルホネンの皆川明さんのイラスト(文庫版)にふちどられた、

本や子育てやもろもろの“辻村ワールド”にふれてみませんか?

文・写真/ 木下琴子

2006年3月からのお付き合い。琴子ちゃんが生まれる前から撮影をさせて頂いてます。小学6年生になった今も記念日ごとには必ず、スタジオやお好きなロケ場所で撮影させて頂いてます。埼玉県からお越し下さいます。幼い頃から、本が好きと撮影のたびに僕に話してくれた琴子ちゃん。読みたい物語がまだまだ沢山あると思うと、これからが楽しみとも話してくれた。そんな琴子ちゃん目線の書評を毎月2回、依頼しています。


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アオジは、山の中や林で出会える野鳥です。

植物園などで見られることもあります。

春から夏は、高原などで「チョッ ピーチョッ ピリリィ」とさえずる姿が見られます。

秋から冬はやぶの中にかくれていることが多いです。

ときどきやぶの中から「チッチッ」と鳴きます。

スズメみたいにはねて地面にいる虫や植物の種子を食べます。

じっとしていると近くまで寄って来ることもあります。

なので、その寄って来てくれる姿がかわいいことから「児」をつけて青児という名前になったそうです。

クロジ(黒児)という鳥もアオジのようにかわいいので「児」がつけられました。

ちなみにアオジのように緑色の鳥でも、「アオ」とつけられる鳥も多いです。

おもしろいと思ったことは、アオジのオスは大人になると目の先が黒くなっていくことです。

なので、人相が悪そうに見えると言われがちです。

ここでクイズです。

まめちしきに「アオジは日本で1番足輪がつけられている鳥」と書いたけど1年に大体何羽くらいつけているでしょう。

1.  1000羽~5000羽

2. 5000羽~10000羽

3. 10000羽~15000羽

4. 10万羽

5. 15万羽以上

正解は次の鳥図かんで発表します。

絵・文/ 中野響


お姉ちゃんとひーくんが生まれる前の、2005年10月から撮影をさせて頂いてます。今も2~3年に1回は必ず、スタジオや城陽のご自宅で撮ってます。小学6年生になったひーくんは、この前の撮影の時に鳥に魅せられていると話してくれた。それが小学生レベルの鳥好きの話ではなく、僕からすればもう学者レベル。しかも視点がユーモラスなのでこれはスゴイ!是非、図鑑を作ろうと盛り上がり、WEBという形で毎月2回、発表してもらっています。


今号はお休みです。

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