スツール

お客さんのコラム7/10版

2020.07.10 更新

師はいろいろと偉大なり…笑。の巻

編み物教室に通いながらおばあちゃんの新たな一面に気づいたことがあった。

おばあちゃんは実はすごく丁寧なんじゃないかということ。

おばあちゃんは私の目から見てもおおらかで細かい事は一切気にしないし、明らかに大雑把だとばかりずっと思っていたのだけど、編み物はそうはいかない場面が多々ある。

編み物は、編み目を一目間違えたり落とすだけで、全部の歯車が狂ってしまう。
偶数を奇数に変えるだけでその後の設計を大きく変えてしまう。
模様が全く合わなくなってしまう。
なので一目一目が大事な編み目で、その一つ足りないだけでも大きな誤差になってしまうので、丁寧に一目を大事に編まないといけない。
かと言っても私なんて間違いばかり。
「あ、編み目一つ足りない!(もしくは編み目がいつのまにか増えている!)」なんて場面が多々ある。
やばい、折角ここまできたのに…一目くらいだし…誤魔化したろかな…という思いはまず抱いてしまうけど。
その誤魔化が完成に大きく影響する事を身をもって体験したので、もうそんな事はしなくなってきた。

もし間違いに気づいた時は誤魔化さず、間違えた所までを解いて戻り、一つ一つ編んで重ねてゆく。
こうじゃなきゃやっぱり完成しないのだ。

何を隠そう、私も自他共に認める大雑把。
だいたい…でなんでもやってきた気がする。笑

大雑把はおばあちゃん譲りだとてっきり思い込んでいたのだけど、編み物の師匠の私のおばあちゃん、実はすごく丁寧なんじゃないのか。とここへ来て初めて気付いた。
編み物が得意で数々の細かい編み模様の入ったセーター、帽子、ワンピース、靴下、手袋…これは丁寧じゃないと絶対できない!!(断言!!)
編み物の模様は一段一段積み重ねて編んでゆき、出来上がるもの。一目ごと、一段ごとの丁寧な積み重ねでしかできないものだった。
失敗を重ねて身をもって体験して気づいた編み物の事と、おばあちゃんの一面。
おばあちゃん、今まで勘違いしていてごめんなさい。笑

でもやっぱり普段のおばあちゃんはどう見てもおおらかであり、大雑把。
小さい頃からおばあちゃんに、細かい事を言われた事もなければ、そう感じた事もない。

普段はそうであって、編み物では丁寧さを発揮。
それって、その使い分けできるって最強じゃないのか。。と最近思うようになってきた。
きっとおばあちゃんは使い分けてるつもりはないのだろうけど、そのバランスが上手く混在していて、私の理想とする最強の大雑把の形だ。
師匠、編み物の師匠と弟子入りしましたが、生き方を学ぶようになってきた気がする私でした。偉大なり…!!笑

写真・文 / 田畑由布子

2012年11月からのお付き合い。3姉妹5人家族になった今も年に2回、必ずスタジオや名張市のご自宅で撮影させて頂いてます。


⑤「谷本さんのゴルフはアリ地獄」

 Sukkuをご利用される方は、目標や目的を持っておられる方がほとんどです。
今回のコラムで紹介するのは、谷本さん60歳代の男性です。
この方は約10年前に「進行性核上性麻痺」という病気を発症されました。
進行性核上性麻痺は難病の1つで、脳の中の大脳基底核 、脳幹、小脳といった部位の神経細胞が減少し、転びやすくなったり、下方を見ることがしにくい、しゃべりにくい、飲み込みにくいといった症状がみられる疾患です。初期にパーキンソン病とよく似た動作緩慢や歩行障害などがみられて区別がつきにくいこともありますが、パーキンソン病治療薬があまり効かず、効いた場合も一時的のことが多く、経過がより早く進む傾向があります。
(難病情報センターより)

そんな谷本さんは、家業である動物を世話する仕事をされていましたが、発症して数年が経ち、だんだん動けなくなり仕事も出来なくなりました。しかし、本人は動けるようになりたい!という思いでSukkuをご利用になりました。私たちは、自分の親とそう年齢の変わらないこの方を、何とかしたいと頑張りました。
谷本さんは口数は少ないですがいつも柔和な表情でとても穏やか。身長160センチ代後半、体重が80キロ以上と肥満傾向の方です。
私たちはまず体重を落として動きやすい身体を作ろうと、リハビリを始めました。
マシーンでのトレーニングに加え、自転車を20分以上漕いでもらったり、平行棒で段差の上り下りをしたりとすごく動いてもらいました。ですが、減量の成果はあまり見られませんでした。それもそのはず、運動すればお腹が減る。家に帰って食べる食べる。私が「谷本さん、昨日の夜ご飯なに食べましたか?」と聞くと、小声で「ハンバーグ。」また次の利用時に聞くと、「外に食べに行った。美味しかった。」とボソッとつぶやくように言われました。
私は何回か聞いて、聞くことをやめました。60歳代と若いけれど自由に身体が動かないので、どうしても楽しみは食事になってしまうのです。それが分かってからは減量を目的にすることをやめました。
一方身体の方はというと、運動量を増やしたり自分の身体の使い方を意識してもらうことで徐々に成果が出てきました。歩くスピードを調整できるようになり、方向転換がスムーズになりました。それは、誰から見てもわかるくらいでした。そうなると本人のやる気もどんどん向上。自宅周りでのウオーキングの距離を増やしたりと、状態はとても改善しました。
そして、本人も自信が出てきたんでしょう。こそっと「今度5年ぶりにゴルフに行くんや」って教えてくれました。私も趣味でゴルフをしていますので、一緒にスイングの練習をしたり、飛距離を伸ばすためのトレーニングも行いました。病気の症状の1つである、歩きだすと止まらなくなる突進歩行は長い距離を歩くと出てくるので、それに対して一抹の不安はありましたが、友人に車に乗せてもらいゴルフに行かれました。
次の日私が「どやった?」と聞くと「2、3回こけたけど大丈夫やったわ」と嬉しそうに話をされていました。身体を診ると膝には打撲の跡が。でも、本人の表情を見るととても嬉しそうでしたので、そこからどのようにしてこけたのか?を聞き出し、こけない様に対処する方法を伝えたり、こけても軽傷ですむ様なこけ方を伝えました。
そして、しばらくして谷さんがボソッと「2回目のゴルフに行く」って教えてくれました。前回よりも出来るのではないか、、、と内心思っていたので、ワクワクしながら送り出しました。
しかし、次の利用日に迎えに行くと、傷だらけの顔で谷本さんが家から出てこられました。私はびっくりして、「どうしたん!?」と急いで駆け寄りました。
谷本さん「こけたんや。」
私「どこで?」
谷本さん「ゴルフ場で」
私「ゴルフ場のどこで?」
谷本さん「途中までは良かったんや。けど、バンカーでこけたんや」
よくよく聞くと・・いい調子だったがバンカーに入ってしまい、歩いてバンカーに入った1歩目で右膝から崩れ落ちた。そして、そのまま顔が砂に埋まり、そこから動こうとしてもなかなか動けず、動くたびに砂と顔が擦れて顔面傷だらけになってしまった。助けに入った友人は手を持って立たそうとするけど、足場が砂やから不安定で踏ん張りがきかない。そして、谷本さん80キロ以上あるから支えきれずに、最後は二人で転倒。周りから見ると、砂場でよい大人がプロレスをしているような状態になってしまった・・・とのこと。
結局3人がかりで谷本さんを救出したそうです。私はこのバンカーでの出来事を聞いて、大人がアリ地獄にはまって出られなくなっているところに、また1人また1人と次々とアリ地獄にはまっていく光景をイメージしてしまいました・・。
それ以来、谷本さんの口からゴルフの話しを聞くことはありませんでした。
そんな谷本さんは病気が進行してSukkuをお休みされていますが、必ず元気になってまた戻ってくるという目標をもっておられます。
このコラムを通じて谷本さんにエールを送りながら、5回目を終わります。

谷本さん!私たちはあなたが戻ってくるのを待ってますよ!!

→次回のコラムは「Sukkuを家にもっていっちゃった!」です。

写真・文/ 川瀬啓介・未央

Sukku 川瀬啓介 / 未央 (理学療法士・鍼灸師 / 鍼灸師)
〒622-0002 京都府南丹市園部町美園町4-16-38

TEL 0771-62-0005

2017年から京都の南丹市でリハビリを中心としたデイサービスをしています。利用者さんと過ごす時間は、笑い声と涙が入り混じる賑やかな毎日です。そんなささやかな日常、会話から気付かされること、そして個性派揃いのスタッフについて…これから色々な事を綴っていこうと思います。

2011年11月からのお付き合い。2兄弟4人家族になった今も1年に1回、必ずスタジオで撮影させて頂いてます。Sukkuというデイサービスの屋号を、佳代が名付けさせて頂きました。


『なぜこんなに生きにくいのか』 南直哉 新潮文庫

日曜午後のご機嫌なラジオ番組、「ラジオ・シャングリラ」。そこでかかる音楽は、一曲一曲でもとても素敵なのに、パーソナリティの立川さんと森永さんの巧みな語りにはさまれると、ピンク・フロイドも、ジョン・レノンも、コルトレーンも松任谷由美も、相互に絶妙な関連性が生まれて、とんでもなく心地よい、しあわせな時間になるのです。

 コロナ以前の日常を取り戻すにはほど遠く、新たな日常にもなじめないこの頃…ラジオを聴きながら、まったく別ジャンルの本を思い出しました。

 今わたしたちはコロナの時代にあって、これまでのことは一体なんだったのか、自然と人間との関係は? 人類の発展とは? これからどう生きるべきなのかと、思いを巡らせています。
 人間はこれまで、自由奔放に進歩をめざしてきました。その結果、触れることのなかった自然の奥深くにまで手を伸ばし、未知のウイルスがこちら側に入ってきた、そういう説が現在よく語られています。では、自由とはいったいなんなのか? これほどの自由を手に入れながら、人間はどうしていつまでたっても苦しむのか?

 そこでわたしは、恐山の禅僧、南直哉(みなみ じきさい)さんに相談するような気分で、 この本を開きました。

 南さんは、自由…それは自分にブレーキをかけられる状態である、と語ります。ブレーキをかけずに、どこまでも好き放題にやることは、ただ欲望にすぎない、と。
 また、人はただひとりでは意義はない、とも言い切ります。この世に生まれてしまった、そのこと自体に本来意味はなく、だれもがただ、最後のその日まで生ききってゆくだけだと。

 そこに生きる意味を生じさせるためには、人と人がお互いの関係をたいせつに育て上げ、「関係性」という価値をみずから創造していかなければならないのです。つまり、人と人とのつながりや関係性を、こわれものを扱うようにたいせつに育てていくことで、生きていく意味は生まれるのです。

 そのたいせつな関係性は、「敬意」をもって育てるべきだと、さらに南さんは重ねます。敬意とは、つまり想像力です。お互いを思いやり、お互いのわからなさを認め合い、わからないけれどもわかろうとすることで、互いを尊重しあう関係。そのことが、この人生の生きにくさを、すこしでも小さくしていく。

 この本では、社会、死と宗教、人生の意味、家族などさまざまなアプローチから、人生をいかに生きるかが語られています。やさしい語り口なので気軽に読んでみてください。

写真・文/ 中務秀子

2018年・第27期のフィルムカメラ教室の生徒さんとして、お付き合いが始まりました。今もフィルムカメラを続けてらして、二眼レフカメラにも挑戦中。こどもと大人の絵画造形教室 / コッコ・アトリエを京都の一乗寺でお仲間とされています。デコさんは本好き、映画好き、芸術好き、お話好き。いわば “忙しいひまじん” です。とても自由で全然気取ってない表現に親近感を覚えさせてくれる先輩であり心友です。


キビタキは、黄色と黒色をしていて低い山ででも見れるきれいな鳥です。前にしょうかいしたルリビタキの仲間です。鳴き声は「チュチュリー、フィー、チョチョチョリチョリ、フィフィフィー」などと鳴きます。キビタキは奈良の葛城山で初めて見ました。なかなかすがたを見せない時もあるので、声が聞こえても見れない時があります。でも声で、いる場所が分かることもあるのでしっかり声を聞いて置くと鳥を見つけやすくなります。好きな所は、おなかの色がとてもあざやかな所と、ふっくらしてる所です。この鳥も写真におさめたいと思っています。ここでクイズです。キビタキのオスは黄色と黒色だけどメスは何色でしょう。

1. せ中が黒でおなかはまっ白

2. せ中が茶色でおなかはまっ白

3. オスと同じ色

答えは次の鳥図かんにのせます。

絵・文/ 中野響

2005年10月からのお付き合い。姉弟4人家族になった今も2~3年に1回は必ず、スタジオや城陽のご自宅で撮影させて頂いてます。


『西の魔女が死んだ』梨木香歩

中学校へ進んでまもなく、どうしても学校へ足の向かなくなったまい。まいは、しばらく「西の魔女」ことおばあちゃんの家で過ごすことになる。おばあちゃんから、まいは魔女になるための手ほどきを受けるが、修行の要は、何事も自分で決めることだった。

おばあちゃんの生活、例えばジャムを作ったり、洗濯をしたり、エプロンを作ったり、そういったことが全部すてきです。

読みながら風景が目に浮かびます。読み終えたらなんだか成長できた気分になるかも…?

描写がていねいできれいなので、少し難しい言葉や言いまわしでとっつきにくいところがあっても、すぐに入りこんでしまいます。

実は、伏線も張ってあって、わかる人には何のことかわかるかも….?すごくいい本なので、ぜひ読んでみてください!

文/ 木下琴子

2006年3月からのお付き合い。琴子ちゃんが生まれた今も記念日ごとには必ず、スタジオやお好きなロケ場所で撮影させて頂いてます。埼玉県からお越し下さいます。

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