STU:Lの真髄展

D_MALL KYOTOさんで行いました、STU:Lの真髄展の全貌です。
お客さんはなぜ、写真を撮ろうと思ったのか?
なぜアルバムを残したのか?
それぞれの家族には、それぞれのエピソードがありました。
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① ある4人家族の写真を1枚、撮影させて頂いた時のお話です。

8月、一本の電話が鳴った。
ご両家の祖父母と、私たち家族の合計8人で1枚、
写真を撮ってもらえないかというご依頼でした。
ご家族は、4歳の女の子ともうすぐ4か月になる赤ちゃん。
8人ともなると大人数。
スタジオ・スツールでは、ギュウギュウになってしまうなぁ。
「 せっかくだから、外で撮りませんか?」 と提案をしてみた。
緑豊かな長岡天満宮の遊歩道は、光と風が気持ちいい。
お客さんも外で撮りたいと言われ、当日は石の鳥居の下で待ち合わせることになった。
木々の間を風が吹き抜ける、秋晴れの9月。
自転車でぷらぷらと撮影場所をぼんやり探していると、後ろから突然、
「竹内さんですよね?」とても気さくそうな女性の方に呼び止められた。
「はい!」 お客さんでした。
ほんとだ、8人いらっしゃる・・・。隠れながら女の子がこっちを見て、笑ってる。
ご両家のおばあちゃんも、ボクを見て笑っておられる。
みなさんの雰囲気を見て、あっ、今日の撮影は大丈夫。
「好い写真が撮れるぞ!」 直感的にすぐに思った。
ほのぼのした空気感と、こども達が放つ光は、緑にピッタリだ。
先ずは奥さんと、ちょこっと話すことにした。
「どうして写真を撮ろうと思ったんですか?」
いきなり本題をぶつけてみた。
すると、その答えに驚いて、それから・・・ にやっと笑ってしまった。
ある日、お母さんの宝物を見せて。と、娘さんが手を出してきたそうです。 すると奥さん、
「 宝物は家族やけど、ハイって、見せられへんなぁ・・・。
よし、写真を撮ろう。そして毎年残そう。」
そう思われたそうです。
シンプルな行動は、感動も大きいんだろうな。
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② そのご家族を撮影したのは、昨年の春。
馴染みのお客さんからのご紹介だった。
記念日だとか、何か大切な行事だとか、
そういう事ではなく、
今の自分たちを、9か月の息子さんの今しかない仕草を、
そして自然な家族の姿を残したいという事だった。
スタジオでフィルム1本分(36枚)を撮影した。
遊んでいる様子、つかまり立ちの姿、仕草。
10ページのアルバムが仕立て上がると、
とても喜んで下さいました。
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その2か月後、

奥さまから1本のお電話があった。
8月21日の木曜日に、
「もう一度、ひろとを撮影していただけませんか?」
ん. . .?   そうか、ひろとくんの1歳の誕生日だ!
「勿論です、大丈夫ですよ。」
ご主人はお仕事なので、ふたりで来られることになった。
確かに誕生日はとても大切な日だし、
当日に写真を残せたら、なんていいだろう。
しかしこの前、たっぷりと撮影をさせてもらったし、
仕上がりも、とても気に入って下さった。
ましてや今回の撮影にはご主人はいらっしゃらない。
やや腑に落ちないまま、当日を迎えた。
8月21日木曜日。
大阪から京都まで、真夏の暑さを潜り抜けて、
とても爽やかな笑顔でいらっしゃいました。
「ひろとくん、おめでとう。」
ニヤ~っと笑ってる。
3か月前に撮影したところだから、憶えてくれてるのかな。
すぐに馴染んでくれたので、早速撮影スタート。
そして、ほどなく終了。
少しお喋りをしようかと思い、お声を掛けると、
奥さんから予想だにしない事を告げられ、
何故、今日撮影にいらしたのか、その理由が分かった。
お腹の中にひろとくんがいた妊娠6か月の時、
奥さんのお父さんが他界されました。
そしてひろとくんが、なんと奥さんのお母さんの誕生日に生まれました。
ひろとくんが6か月になったお父さんの誕生日に、今度はお母さんが他界されました。
「 ひろとは母からのプレゼントだったんです。
だからどうしても今日、写真を残したかったんです。」
家族の絆を感じずにはいられませんでした。
写真を残すことは、前向きな気持ちの表れです。
そうして悲しみを乗り越え、一歩一歩喜びに変えようとしている家族がここにいます。
これから一緒に、そのお手伝いができればと思います。
そして今月、もう一人家族が増えると、奥様からうれしいご報告がありました。
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③ 成人式の写真。

世間一般的な成人式写真とは少しイメージが違うかも知れません。
全身、上半身、横顔、後姿、風景、お父さんと、お母さんと。
撮影場所も様々です。
スタジオだったり、ご自宅だったり、長岡天満宮のお庭だったり。
長い時間撮影するので、お客さんのことは何年経っても憶えています。
ただ、今迄は成人式の撮影が終われば、一旦ご縁も途絶えるものです。
ところが先月、あるお客さんからのお電話を受け、喜びを感じてしまいました。
お客さんの地元、長岡天満宮のお庭で成人式をお撮りしたのは、8年前。
その後、結婚され、赤ちゃんを出産されていたんです。
そして8年ぶりにお電話を下さり、先月家族3人になった写真を、
お着物姿で、あの時と同じ長岡天満宮のお庭で、撮りました。
様子は変わらなくても、確実に家族3人になられていました。
カメラマン冥利に尽きる時間でした。
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④ ご夫婦の撮影をずっと頼んで下さっている奥さんから、ある相談を受けた。

「最近、父の様子が変なんです。」
お父さんは70歳。
もの忘れが激しかったり、同じ話を何度も繰り返したり、
部屋を閉め切ってこもりがちになったり。
どうも痴呆症のようだと。
そんな様子を見て、少しでも元気なうちに写真を一緒に残しておきたい。
ストーリーのあるアルバムを残したい。そう言われました。
「 大切な写真になる。」
出来る限り飾らず、作り込まず、
でも少しいつもとは違う心持ちの表情を、お撮りしたいと思った。
大まかな流れだけを彼女と話し合い、あとは当日、
空気を作るから流れに任せて撮らせて欲しいと、それだけを告げた。
青空が広がる当日の朝、スタジオに3人はいらした。
彼女、ご主人、そして彼女のお父さん。
やはり緊張の面持ちのお父さん、それ以上にガチガチの彼と彼女。
印象は、とても品のある、清潔感漂うお父さんだと思った。
先ずはスタジオで色々なお話をすることにした。
当たり障りのない世間話。
話の端々に職人気質を思わせる強情さも感じた。
「 さぁどうしよう?」 と思った。
このまま空気が混ざり合わないまま撮影を始めるか、それとも。
もう少しお喋りを続けた。
お父さんの学生時代の頃をお聞きすると、途端に表情が明るくなった。
それからはポンポンと話題が出てきて、付いていくのがやっとな程だった。特にお勤めになってからのお話は、テンポが一気に加速した。
それもそのはず、やはり理系だったお父さんは、電化製品の開発エンジニアだったのだ。
表情が明るく光を放ち始め、よし今だと思った。
「 お父さん、撮ります。」 そう言って立ち上がった。
その時、不意にお父さんがこう言われた。
「 何でも言ってください、今日は竹内さんの言う通りにするから。」
「 分かりました。」
お父さんとの距離が近づき、徐々に撮影のリズムが合い始めて来た。
よし!
「 じゃぁ、そろそろ長岡天満宮へ散歩に出掛けましょう。」
そう言って僕等は、夏空の下を歩き始めた。
話が途切れる事なく、とても心地よい距離を感じながら、撮影は進みました。時には足を止め目線のリクエストをして撮影をしたり、
時にはそっと横から優しい表情をファインダーで掴んだ。
「 竹内さん、楽しいねー、たのしいねー。」何度も何度も、そうおっしゃってました。
撮影の時間がやがて家族の大切な時間になった。
涼しげな木漏れ日が揺れる桜並木の緑を潜り抜け、光が反射する池の水面を覗き込む。
その親子の姿は、遠い日の二人。
心に沁みる。
これからの家族の幸せを願い、天神さんで手を合わせる。
ラストショットは、それぞれの思いを抱いて神社をあとにする三人の後ろ姿。とても満足気なお父さんと、彼女。
「いい時間をありがとうね。」
そう言って、お家に帰られました。
その夜、彼女から連絡があった。
その内容にとても驚いた。
自分の写真が残ることを極端に嫌がっていたお父さん。
実は、今朝まで絶対に行かないの一点張りだったそうです。
理屈っぽい父だから、もう本当に諦めようとまで思いながらも、
でもどうしても写真を残しておきたいという強い思いから、説得に説得を重ね、来られたそうです。
だから今日の一日の様子を見ていた彼女は、とてもびっくりしたそうです。
スタジオのドアを開けてお入りになり、初めてご挨拶を交わした時には、
全くそんな雰囲気を感じませんでしたから。
所謂仰々しいスタジオではなく、素足に短パン姿というラフな恰好のカメラマン。
そういう手軽さもよかったのかも知れないが、きっと内心では撮っておきたいと思われていたはずです。
万が一、行かないと言われたとしても、とにかくお連れ頂けさえすれば、
必ず分かって頂いて、好いアルバムを作るから。
そんな約束を、彼女と交わしていました。
帰られる時には、来てよかったと思ってもらえるから。
その言葉だけを信じて、彼女は諦めずに説得してくれました。
そして無事、家族の時間が迎えられました。
人それぞれに色々な事情を持ちながら、生活をされています。
でも撮影の時間を体感することによって、この充実した時間を継続させたい。そんな風に気持ちが前向きに変わります。
「仕上がりが楽しみで仕方ない。」
そうお父さんが言われていたアルバム。
娘さんからプレゼントされると、とても喜ばれたそうです。
そしてまた、僕のスタジオに遊びに行きたいと、明るく言われたそうです。
写真が家族に力を与えてくれました。
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