写真力

g9

きのうのコト。

近所にある、こじんまりとした清潔感のある佇まいの昔ながらの風合いを持つ、
とても美味しい和菓子屋さんに2ヶ月ぶりに行った。
「そうや、わらび餅を買おう。」と思い立ったからだ。
喜び勇んで出掛けたのも束の間、店の前に着いた途端うな垂れてしまったのだ。
筆で書かれた1枚の紙が、お店のガラガラドアに貼ってあった。
少しだけ嫌な予感がしたが、どうやら的中してしまったようだ。
こういう時の勘は、当たるのが常である。
眉間にシワを寄せ読んでみると、4月末日をもってお店を閉店いたしました。
と書かれていた。
後悔、未練、こうかい、みれん、コウカイ、ミレン、の繰り返し。
分かってれば先月、買いに来たのに。
最後にもう一度、あのわらび餅を食したかったのに。
大好きなお店やったのに。
のにのに、、、 相田みつをさんにお叱りを受けるかもしれないけれど、
とにかく心の中で、“のにのに”の連発。

朦朧としながらも、足早にそこから立ち去った。
しばらくして、ふと思った。
「あのお店、最後の写真は残さはったんかな?」
大変大きなお世話だけど、仕事がらそう思わずにはいられなかった。
以前にも同じようなことがあったから、そう思うのだと思う。
ただその時はお客さんのご実家のお店ということで、ボクが写真を残すお手伝いができた。
職人の親御さんの、最後のお仕事風景やお仕事場を撮影した。
ご夫婦で職人として歩んで来られた道のりのお話を、ほんとに嬉しそうなお顔で語ってくださった。
撮影をしながら深ーく聞いていた。。
後日アルバムをお作りしたのですが、ご依頼を頂いた娘さんから驚く発言が。
あの撮影の日を境に、やっぱりもう少し仕事を続けると言われたことをお聞きして、写真力の凄まじさを感じた。
アルバムは、それから少しあとでお渡しになったと聞きました。

もしかすると和菓子屋さんにも、写真を通して何か大きな力をお届けできたかも知れない。
何も起こらなかったかも知れないけど、写真は絶対に残したほうがいい。
虚しくなった。
自分がカメラマンだということを、無意味にはあんまり話さないけれど、
意味なんて、実は相手が決めることなんだ。
撮る撮らないもお客さんが決めること。
ならば、先ずはできるだけ多くの人の何かの時のために、
ボクはカメラマン!
だという事を知ってもらう必要があるのだと、強く熱く思った昨日でした。

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