なんにもいらなくなる。

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スツールフィルムカメラ教室の生徒さんたち、OB・OG総勢15名で、
撮影会をつい先日行いました。
行き先は神戸市須磨にある、ケーブルカーやリフトで登る山上遊園。
その日は天候に恵まれ、突き抜ける青空と、濃い緑と、見下ろす海岸、降り注ぐ太陽の光。とても爽やかで、小さな子ども達が手を上げて喜びそうなロケーションなのに、大人15名。
しかも全員の首には、黒く怪しく光る大きくて頑丈なフィルム一眼レフカメラ。
周りからは、どれほどまでに場所と不釣合いに写っていたんだろう。
考えるだけでも恐ろしくなる。
しかし我々本人たちは涼しく、この軍団を快くそして愛おしく思っていたに違いない。
何故なら全員がフィルムカメラで写すという、所謂荒業をやってのける上、
一筋縄では行かぬ人達の集まりである、スツールというキーワードを握っているからだ。
撮って、お弁当を食べ、山を下りて、海岸まで歩いて、また撮る。
何人かの生徒さんとボクは、もうカメラを置いて冷たい海に入った。
貝殻を集めたり、蟹を取ったりしてワイワイ遊ぶ姿をまた誰かが撮る。
やがてみんなもカメラを置いてもう撮るのをやめた。
話し始める。
海と空の間には、なんにもいらなくなる。
心と心が真正直になって、互いの目を見て、共有している時間を確かめる。
光景を見て、これがスツールなんだと頷いたりした。
撮影会の冒頭にこんな話をした。
「最近は視覚的なことばかりで、五感を使っていない気がする。
今日は思いっきり五感を使って自然を感じて、楽しもう。」

まさしくそんな時間だった。
スツールのカメラ教室に通う生徒さんはみんな、オモシロイ。
最後にはカメラを置いて、誰も写真を撮らなくなるんやから。
ボクが最初に撮らなくなったんやけど。

この教室がいつまでも、
各々にとって自分らしくいられる時間であり続けたいと思う。

カテゴリー: LIFE